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H2Hマーケティング実践編 
「正義とは?・その17:
無知のヴェール

「原初状態という着想は、合意されるどのような原理も正義にかなうよう公正な手続きを設定することをねらっている。その達成目標は、理論の基礎として<純粋な手続き上の正義>という概念を用いることにある。」

「人びとを反目させ、自分だけの利益になるように社会的・自然的状況を食い物にしようという気を人びとに起こさせる、特定の偶発事の影響力を、なんとかして無効にしなければならない。」

「このためにこそ当事者たちは<無知のヴェール>の背後に位置づけられている、とここで想定しよう。」

ロールズは、正義にかなう公正さが保たれるには、各自に特有の状況がどのような影響を与えるのか分からない状態、つまり、当事者たちがもっぱら一般的な考慮事項に基づいて諸原理を評価できる状態を作る必要があり、その状態を作りだすのが<無知のヴェール>なのだと言います。

当事者たちは「特定の事実を知らない」と想定されています。

  • 自分の社会的地位、階級、社会的身分を誰も知らない状態
  • 生来の資産や才能の分配・分布における自らの運(=自らの知力・体力など)を誰も知らない状態
  • 当人の善の構想(=自分の合理的な人生計画の詳細)を誰も知らない状態
  • 自らの心理に関する特徴すら誰も知らない状態
  • 自分たちの社会に特有の情況(経済・政治の状況、文明や文化のレベルなど)を誰も知らない状態
  • 自分たちが属している世代を誰も知らない状態

「原初状態という着想を完遂するためには、こうした問題事例にあっても当事者たちは自分たちを敵対関係に追い込むさまざまの偶発事の中身を知ってはならない。自分たちがどの世代に属することになるとしても、その帰結を甘受する用意がある原理を当事者は選択しなければならない。」

「原初状態は、人がいつでもそのパースペクティヴを採用しうるように解釈されなければならない。いつ人がその観点を取り上げようと、また誰が取り上げようと、そこに違い生じてはならない。」

「すなわち[原初状態に課される]諸制約は同一の原理がつねに選択されるようなものでなければならない。」

「無知のヴェールはこの要求事項にかなう主要な条件に相当する。無知のヴェールは、入手可能な情報が重要な関連性を有すること、さらにその情報がつねに同一であり続けること、その両方を確実なものにしてくれる。」

ロールズは、無知のヴェールを用いる理由として「原初状態を、望まれた解答が得られるように定義すること、このことを私たちは願望している。」

無知のヴェールによって、恣意的で無根拠な偶発性による偏った結果を生じさせる知識が排除されるならば、

「全員一致という要求事項は不適当ではなく、その要求事項が充たされているという事実が非常に重要なものとなる。全員一致の要求事項のおかげでもって、選好される正義構想に関してそれが諸利害の真の和解・調停を表していると私たちは断言できる。」

(by インディーロム 渡邉修也)

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