H2Hマーケティング実践編
「正義とは?・その1:
マーケティングと正義」
トランプ政権がスタートし、矢継ぎ早に沢山の大統領令が発令されました。中にはこれまで善とされてきたことが否定されたりと、価値観が揺らぐような事態が発生しています。
しかし、多くの人が気付いているように、私たちの価値観の動揺は、トランプだけに起因するものではなく、第一次大戦以降のパックス・アメリカーナの終焉、ここ40年日本や世界を支配してきた新自由主義的価値観への懐疑と批判、BRICS台頭とG7凋落など、大きな歴史の転換期に入っていることが背景にあり、政治、経済、思想、それこそ時代精神(ツァイトガイスト)が揺り動かされているのだと思われます。
この連載の基本はマーケティングなのですが、コトラーがH2Hマーケティングの中で語っているように、マーケティングの在り方、立ち位置も大きく変わってきています。かつては “ターゲット”と見なされていたユーザーや生活者は、企業と同じ地平に立つアクターであり、協働・共創のパートナーとなっています。
マーケティングとは、こうしたマインドとハートと精神をもつ全人的存在である人びとと向かい合い、対話していくことであり、企業には、世界がよりよい場所となるようなソリューションの提供が求められています。
またコトラーは、人びとは混乱に満ちた世界において、自分たちの一番深いところにある欲求(社会的・経済的・環境的な公正さに対する欲求)に対して、ミッションやビジョン、価値で対応する企業を探しているとも言っています。
こうしたコトラーの意見に確かにそうだとうなずきつつ、恥ずかしながら「そう言えばな公正って何だっけ?」と、そもそものところが曖昧な自分に気がつきました。
そんなわけで、今回からしばらく、これからの企業活動やマーケティングをしていく上で、最も大切な地盤・土壌となる、公正とは、正義とは、ということを、今さらながら勉強していこうと思います。
公正、正義と言うことで、まずは、ジョン・ロールズの『正義論』、マイケル・サンデルの『これからの正義を話しをしよう』などを手がかりとして、学んでいきたいと思います。
今のところ、白紙状態に近いため、何回くらいで収まるのか分かりませんが、手探りで開始します。次回は、ロールズの『正義論』の出だしのところから。
(by インディーロム 渡邉修也)