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H2Hマーケティング実践編 
「社会的責任とブランド・アクティビズム・その1:
求められるブランド・アクティビズム」

コトラーが、H2Hマーティングの中で、特に重視しているのが「ブランド・アクティビズム」です。

「ブランド・アクティビズムは、社会を良くしたいという願望から、社会的、政治経済的及びまたは環境的な改革を推進し、疎外し、または率いる事業の取り組みで構成される」とし、「極端に偏った世界において、中立的立場を貫くだけではもはや不十分なのだ」と言い、「企業のリーダーは、ブランド・アクティビズムとして、社会・政治問題に対するスタンスを明確に表明し、行動していくことが求められている」としています。

コトラーは、PR会社のエルデマン社が2000年から世界20数カ国で毎年実施している信頼度調査レポート「エルデマン・トラストバロメーター2020」から、「米国では、この調査が始まっていら最も急激に、信用全般が低下していること」、「56%の回答者が今日の資本主義が適切な経済システムではないと考えていること」を紹介しています。

同レポートでは、社会体制(政府)やメディアへの信用低下が続く中、企業のリーダー(CEO)に対する要求と期待が高まっていることがデータとして表れています。

政府に言われる前に、企業が自ら変革に取り組むことへの期待は、64%から74%へ高まっており、従業員の多く(7割以上)が、CEOに求める姿勢・行動について、従業員を支援するだけでなく、産業界の課題、政治・国家的な危機に対しても明確なスタンスを表明すべきだと回答しています。

消費者ではこの傾向はさらに顕著で、81%の消費者が「自分が購入しようとするブランドが、会社として正しい行いをしていて信用できるか」ということを重視しています。

また、「グリーンウォッシング」という言葉がありますが、これは企業の環境配慮の見せかけのポーズに対して、批判的な意味で使われるものです。

SNSが浸透し、誰もが情報発信者となり、短時間に拡散、共有されていく時代においては、もはや「見せかけ」は通用しなくなっているわけです。

ブランド・アクティビズムは、90年代型のCSRが企業の面子を保つ上辺だけのものが多かったことに対して、近年登場した考え方であり、ビジョンにとどまらず、より具体的な行動が求められるものです。

今回から数回に分けて、従来企業がCSR活動として取り組んできた社会的責任のマーケティングと、社会課題の解決を目指しすソーシャル・マーケティング、コーズ・マーケティングなどの用語について、復習しながら整理しつつ、これらの概念と、ブランド・アクティビズムとの関係について考えて行きたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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