H2Hマーケティング実践編
「食料安全保障とは:その1:
食料自給率とは何か」
先日2月27日、「農政の憲法」ともいわれる「食料・農業・農村基本法」の改正案が閣議決定されましたが、これには色々問題があるようです。
私も少し前までは食や農の問題について、まったく無頓着で知識ゼロの状態だったのですが、ここ3年程前から少しずつ勉強し始め、ようやく皆さまに基本的な状況や課題・問題点などについての学びをシェアできるくらいになってまいりましたので、今回から数回に分けて、まずは「食料安全保障」について取り上げてみたいと思います。
今回閣議決定された改正案では、「食料安全保障」について「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」とし、既存の国内生産基盤を保持しつつ、海外への投資を促進し、食料の輸入先を増やす(多様化・分散化する)ことで安定確保を実現していく方針のようです。
一見すると、特に問題はないように見えるかもしれませんが、ここ10年間の食と農に関連した法改正の経緯や、そもそも、食料安全保障とはどうあるべきなのかをしていくことで、何が問題なのかが見えてくると思われます。
今回は、初回なので、まずは前提となる基本情報として「食料自給率」について、情報をシェアしていきたいと思います。
まず「食料自給率」とは、どのようなものなのでしょうか?
食料自給率とは、食料の国内消費に対する国内生産の割合です。
自給率の計算方法にはいくつかあり、日本では「カロリーベース」と「生産額ベース」、そのほか「重量ベース」などがあり、毎年農林水産省が公表しています。
2021年の日本の食料自給率は、カロリーベースでは38%、生産額ベースでは63%となっています。
一般に食料自給率という場合には、国連食糧農業機関(FAO)がカロリーベースで各国データを公表していることもあって、新聞などのメディアで食料自給率が報道される際には、カロリーベースの38%の方が見出しとして使われます。
日本の食料自給率(カロリーベース)は、1965年度には73%から、2022年度には38パーセントとなり、57年間でほぼ半減しています。
食料自給率が低下する要因は、単に「輸入量が増えた」ということだけではありせん。
例えば、米に限って言えば、現在でもほぼ100%近い自給率なのですが、食文化の変化で、日本人一人当たりの米の消費量が減り、パンや麺類(大半が輸入ものの小麦)の消費が増えたことで、摂取カロリーにおける自給率が低下しているわけです。
このことから、毎日の食生活で、パンの回数を減らし、ご飯を増やすだけでも、実は自給率がアップすることが分かると思います。
国民が、ご飯を毎日もう一口(14g)多く消費すると、それだけで食料自給率が1%アップすると言われています。
自給率というと、政府や農業水産関係の人が気にすることで、一般の私たちには遠い話しで、一人一人の努力ではどうにもならないと私などは思っていたわけでですが、実は日々の食材の購買行動や食生活を少し変えるだけ、大分変わる可能性があるというわけです。
次回も、食料自給率についてもう少し深掘りしていきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)