H2Hマーケティング実践編
「合理的配慮の準備できてますか?・その4:
対応義務・努力義務・過重な負担」
合理的配慮とは、障害のある人から、社会的障壁の除去など、何らかの対応を必要としているという意思が伝えられた時に、過重な負担のない範囲で対応することです。
行政機関等は “しなければならない”「対応義務」となりますが、事業者の場合は “するように努力する”「努力義務」となります。
では、過剰な負担かどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか?
その判断は、当事者の状態や気持ち・意思、その場の状況などを、総合的・客観的に判断していくことになり、一律に決まるものではありませんが、主な評価・判断の要素としては以下のようなものが上げられます。
- 事務・事業への影響の程度
- 実現可能性の程度
- 費用・負担の程度
- 事務・事業規模
- 財政・財務状況
仮に「過重な負担」があると判断されたとしても、当事者の方に対して、なぜ過重な負担なのか、理由を真摯に説明し、代替案などを含め話し合い、理解を得られるように努力することが大切です。
また、ある当事者が要望したものであっても、別の当事者も同様に望んでいるとは限りません。良かれと思って提供したサービスの中にも、ありがた迷惑と感じられるものもあるようです。
視覚障害者の方から聞いた話ですが、旅館のフロントで浴場の場所を訊ねたところ、支配人が「少し待っていただけたらご一緒します」と浴場の中まで入ってきたそうです。親切心で提供したサービスだと思いますが、視覚障害者の方は一人でゆっくり入りたかったらしく、余計なお節介と感じられたようです。
また、従業員研修については、対応マニュアルを作成することは大切ですが、単に覚えればよいというものではありません。
画一的で硬直化した対応になってしまったり、当事者の方の気持ちや意思に配慮しない対応にならないように、一人一人の状態、その場その時の状況などに応じて、臨機応変に、しかも独善的にならないようにするための研修を行う必要があるわけです。
ケーススタディ的なシミュレーショントレーニングの数をこなすことも必要ですが、大切なのは、目の前にいる相手(お客様)に対する目配り、気配り、傾聴、共感した上で、標準的なサービス内容を踏まえつつも、先入観を排除し、どのような配慮が(その人にとって)ベストなのか?を真摯に考える姿勢を徹底していくことではないでしょうか?
次回は、障害者差別解消法の3つ目の柱である「環境の整備」について学んでいきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)