マーケティング再入門
「H2Hマーケティングとは・その40:
リーン・コンテンツマーケティング」
コトラーは、H2Hマーケティングにおけるコンテンツ制作について、リーン・スタートアップ(lean startup)のMVP(Minimum Viable Product:必要最低限の製品)開発の考え方を参考にすべきだと言います。
MVPとは、資金などのリソースが限られた中で、短期間かつ低コストで新規事業の立ち上げを目指すスタートアップの開発手法です。
[構築]→[計測]→[学習]→(再構築)・・・、というサイクルを回しながら顧客のニーズと自社のリソースとの摺り合わせと軌道修正を繰り返しながら、出来るだけ無駄を省きながら、理想的な製品に近づけていこうとするものです。
コトラーは、コンテンツ作りにおいても、いきなり大きなコンテンツを作るのではなく、最初は小さなコンテンツからスタート(構築)し、ターゲットユーザーの反応を見ながら(計測)、軌道修正し(学習)、次に新しいコンテンツを作成し、適応させていくべきだとしています。
<リーン・コンテンツマーケティングの流れ>
- コンテンツマーケティング用の組織と技術的前提条件を策定する
- 既存コンテンツを収集・評価する
- 最小限の機能を備えたコンテンツ(MVC:Minimum Viable Contents)を作る
- 活用したコンテンツ、フォーマット、チャネルを継続的に確認・分析する
- MVCを継続的に改善する
- 一度選んだ道を手放し、MVCから再出発する勇気を持つ
コンテンツを作成する前に、コンテンツの目標を設定しておく必要があります。通常は、ブランド構築・強化や売上増加などが目標になると思います。
コトラーは、目標設定をする際の情報を整理法として、SMARTフレームワークを推奨しています。
SMARTとは、specific(具体的)、measurable(測定可能)、achievable(実現可能)、reasonable(合理的)、time-bound(期限つき)の5つの評価軸です。
目標設定の後は、コンテンツのオーディエンスを定めます。ターゲット集団を、市場セグメンテーションの側面と、ペルソナモデルの側面から、ターゲットに最大限に寄り添うようなパーソナライズされたコンテンツとは、どのようなものであるべきか検討していきます。
ターゲットの関心事、悩み、不満、目標などに関して、専門知識を有する企業側として、どのような支援(アドバイス、ヒント)が可能か洗い出しを行い、最適な提案の仕方を検討します。
押しつけがましい提案は敬遠されるため、「共創」の原則に則り、ユーザー側に最初に口火を切ってもらう、ユーザー主導側の「ユーザー生成コンテンツ」が最も理想的な形になります。
(by インディーロム 渡邉修也)