マーケティング再入門
「H2Hマーケティングとは・その39:
H2Hコンテンツマーケティング」
今回から数回に分けて、H2Hコンセプトにおけるコンテンツマーケティングについてコトラーの本から学んでいきたいと思います。
まずはじめにコンテンツマーケティングの復習から。以下は Harad, K.C. の2013年の「Content Marketing Strategies to Educate and Entertain」を、コトラーがH2Hマーケティングの本の中で紹介したものです。
「コンテンツマーケティングとは、情報を提供し、コツやオススメを示し、楽しませ、新しい独創的なアイデアを提示する有益なコンテンツを制作・配信することで、企業が特定の分野のエキスパートとして自らをポジショニングすることである。狙いは、新規顧客の獲得と、信頼関係を築いて顧客のロイヤリティを高めることだ。『売らずに伝える』という文言はブランドマーケティングが『ブランドに合う価値ある情報を定期的に対象オーディエンスを共有してブランドを強化する芸術と科学』であることを表現している」
コトラーは、コンテンツマーケティングのポイントは、自社の商品やサービスではなく、顧客のニーズや関心にフォーカスしていることであり、「売る(行為)から「助ける(行為)」への文化的変容があると指摘しています。また、コンテンツマーケティングは、企業からの一方向のコミュニケーションであるアウトバウンド型からインバウンド型マーケティングの橋渡しになっているとしています。
では、上記のようなコンテンツマーケティングと、 コトラーが提唱するH2Hコンテンツマーケティングは、どこが違うのでしょうか。
コトラーは「コンテンツマーケティングの基本姿勢は、H2Hマーケティングの人間中心の理念や顧客の見方と完全に合致している」と前置きした上で、H2Hコンテンツマーケティングでは、以下の2つの点においてコンテンツの概念を拡張していると言います。
「H2Hコンテンツマーケティングは、エデュテインメントとしてふさわしいものでなければならない。教育・助言的(教育機能)または娯楽的(娯楽機能)内容の双方あるいはどちらかを提供するものでなければならないのだ」
「従来のコンテンツマーケティングは主にデジタルに注力していたが、H2Hコンテンツマーケティングはデジタルとアナログの双方を視野に入れ、既成概念を打ち破り、デジタルを越えたコンテンツマーケティングの検討を促す」
押し付けがましいものではなく、デジタルには固執しない柔軟性ということでしょうか?
コトラーは「H2Hマーケティングのコンテンツは、新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客にバリュープロポジションをよりよく理解してもらうために使うこともできる。バリュープロポジションを使ってできる限り高い使用価値を実現し、価値を共創する顧客をアシストするのだ」と付け加えています。
さらに、デジタライゼーションによって、パーソナライズされたカスタムコンテンツの提供が可能になったことにも言及していますが、これについては、また次回に。
(by インディーロム 渡邉修也)