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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その27:
ブランド・ミーニングとは」

前回は、これからのブランドアイデンティティは、社会的課題を解決するような “意味のある” ものであるべきだというコトラーの見解を紹介しましたが、コトラーは、続けて以下のようにも言っています。

「S-DLのブランドロジックの下では、このアイデンティティベースのモデルは修正を余儀なくされる」「なぜなら、暗黙のうちに、ブランドを企業が完全にコントロールできる資源として取り扱っているからだ」。

では、S-DLにおけるブランディングとは、どうあるべきなのでしょうか?

これについてコトラーは、ジャン・ドレンナーの「ブランドと顧客の社会文化的文脈と相互作用の空間がブランド・ミーニング(ブランドの意味)を決める」という説を紹介しいます。

コトラーは「この文脈でのブランドの意味とは、顧客の脳裏に潜在的な意味を残す心的投影を生み出す、個々の体験、連想、感情、行動の総体である。よって『ブランド・ミーニングは社会が形成する公有財産』ということになる」と言い切っています。

「現代的なブランド・マネジメントは、S-DLに基づく『社会文化的な統合ブランドマネジメント』概念であり、マネジメントで重視すべきなのは、アイデンティティベースのブランドイメージではなく、ブランド・ミーニングであるべきだ」「ブランド・ミーニングは社会文化的環境に影響され、また、顧客の資源の活用で共創され、個人個人が決定するものとなる」。

そして、ブランド・ミーニングが共創される時代には、新しいコミュニケーション方法が必要になってくるとしています。

「交流とコミュニケーションを別プロセスと考えるのは窮屈にすぎる。バイヤーとサプライヤー間の交流は全て、ブランド・ミーニングの源泉となりうるのだ」。

「サービス主導のブランディング理論では、顧客は一方的に説得されるコミュニケーションの受動的な受け手ではなく、むしろインタラクティブに共創する資源の統合者であり、ブランドのあらゆるタッチポイントでのコミュニケーションや対話的交流を通じ、ブランドの意味を成功裡に共創すべき相手なのだ」ということです。

ブランドは、社会的課題に対して “意味のある” ものにするためにアイデンティティ・ベースで十二分に練り込んでいく必要がありますが、同時に、顧客や多くのステークホルダーという “アクター” たちと共創していくべきものであり、そこから生まれるブランド・ミーニングは “社会が形成する公有財産” という意識で、ブランディングに取り組むべきということです。

(by インディーロム 渡邉修也)

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