マーケティング再入門
「H2Hマーケティングとは・その25:
H2Hブランドマネジメント 3つの構成要素」
今回から数回に分けてH2Hブランドマネジメントについて学んで行きます。
コトラーは、H2Hマーケティングについて、顧客中心型マーケティングの次の進化段階と位置付け、人工知能、自動化、ロボティクスの時代においては、ブランドマネジメントについても、人間らしさがブランドの一番の差別化につながる、としています。
コトラーのH2Hブランドマネジメントは、次の3つの要素で構成されます。
<H2Hブランドマネジメント 3つの構成要素>
- ホリスティック・ブランドマネジメント
- ブランド・フォーマティブ・デザイン(BFD)
- コラボレイティブ・ブランディング(CB)
まずは、ホリスティック・ブランドマネジメントを見ていきたいと思います。
ホリスティック(全体論的な)とは、ブランドマネジメントが、地域・国内外で一貫しているべきであり、かつ、新しい環境要件に応じて動的に適応し、現実に即して対応していくべき、という意味が込められいるようです。
企業は、ブランドアイデンティティとブランドイメージを作り上げていかなければなりません。
ブランドアイデンティティとは企業側の視点、ブランドイメージは顧客側の視点になります。
コトラーは、H2Hマーケティングにおけるブランドの定義について「ブランドとは、機能的・非機能的メリットの集合体であり、ブランドのターゲット集団の観点から、競合と持続的に差別化できるように設計されたもの」としています。
ブランドアイデンティティは、企業自らが積極的に開発・形成できますが、ブランドイメージは、ブランドアイデンティティ・マネジメントの結果として、後から間接的に生み出されるものです。
コトラーは、強いブランドを作る初めの一歩は、ブランドアイデンティティの便益を具体化し、理解しやすい文言で凝縮した「ブランドプロミス」を作ることだとしています。そして、ブランドプロミスは、顧客のニーズ(ブランドニーズ)と競合との差別化という2つの機能を同時に満たすものであるべきだとしています。
企業が提供する商品・サービスは「ブランド行動(Brand behavior)」と呼ばれ、顧客とのの様々なタッチポイントにおいて、顧客ごとに個別の「ブランド体験」を提供します。
企業にとっては、あらゆるタッチポイントで顧客ニーズを満たすブランド体験、つまり自らの提示したブランドプロミスと、実際のブランド行動が一致しているかどうかを、常に評価され続けることになり、その結果がブランドイメージとなります。
企業は「一貫性」のあるブランド行動を「継続的」に提供する必要があり、かつ、他社と差別化できるブランドの「互恵性」や「個性」を持つ必要があるのです。
(by インディーロム 渡邉修也)