アンケートメーカー

マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その23:
カスタマーエクペリエンス・マネジメント(CXM/顧客体験管理)」

パインとギルモアによる「Welcome to the exprience economy」(1998年、邦題「経験経済へようこそ」)は、マーケティング分野で使われているUX(ユーザー・エクスペリエンス)や顧客体験といった用語の元ネタとなった本です。

この本が出てから四半世紀が過ぎようとしている現在、コトラーは、「モノやサービスのコモディティ化がビジネスモデルの崩壊を引き起こす中、サービス経済は顧客体験を重視する体験経済へとさらなる進化をしている」、「効果的なカスタマーエクペリエンス・マネジメント(CXM/顧客体験管理)がこれまで以上に必要性を増している」としています。

「オンライン、オフラインの両方で、新しいチャネルが次々と登場し、顧客は常にそれらに繋がり、その間を行き来し」、「顧客体験はより複雑になり、増加する影響因子への依存度は高まっている」、「効果的なCXMは、経験上の信用の醸成に不可欠である」ということです。

コトラーは、「顧客体験」について、以下のように定義しています。

<顧客体験の定義>
顧客体験とは、1つまたは複数の交換プロセスにおいて、顧客が提供者とのタッチポイントで行った1つまたは複数のやりとりから得たあらゆる体験の累積的な認識の記憶である。

タッチポイントは、顧客との接点のことです。コトラーは、タッチポイントの管理、すなわちCXM(顧客体験管理)について、どのように考えているのでしょうか。

コトラーは、「CXMは、交換プロセス、すなわち、カスタマージャーニー全体のあらゆるタッチポイントやチャネルをマッピングすることで、マーケターは複雑な顧客体験をより理解でき」、その具体的な手法として「5Aフレームワークを使うことで、顧客の辿るデジタル、物理双方のタッチポイント群を特定できる」としています。

<5Aフレームワーク>
[AWARE(認知)]→[APPEAL(訴求)]→[ASK(調整)]→[ACT(行動)]→[ADVOCATE(推奨)]

5Aフレームワークについては、既にご存知の方も多いと思います。上記のように矢印で結んで表記すると、古典的な購買行動プロセスモデル「AIDMAの法則」のような直線構造のプロセスに見えるかもしれませんが、そうではありません。5Aフレームワークの場合も認知からスタートするのが多いことは事実ですが、途中段階が飛ばされたり、反復したりするのが特徴です。

コトラーは、「マーケターは、顧客のタッチポイントと使用チャネルを見極め、チャネル間が統合された一貫性のある経験を提供し、最重要ポイントに資源を割り当てる必要がある」としています。

また、コトラーは、5Aのもう一つの特徴として「カスタマー・ジャーニーが、個人的なものから社会的なものへ変化した」こともあげています。次回はこの“社会的”というキーワードにも関係する信用と評判の管理について、学んでいきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

ページトップへ