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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その22:
ブランド・アクティビズムとブランドアドボカシー」

コトラーは、「ブランド・アクティビズムは、ビジョンではなく具体的な行動を重視する。『アクティビズム』というと、短期的な思考に思えるかもしれないが、ここでは社会関与という意味をもつ」としています。

前回も、自分が購入しようとするブランドが、会社として正しい行いをし、信用できる企業であるどうかということが、購入の際の判断基準のトップ5に入り、81%が重要であると回答している、という調査結果を紹介しました、Z世代では、企業に対する“正しさ”を求める傾向はさらに強くなります。

現在15〜30歳前後と言われるZ世代は、今後10〜20年間の消費の中核層となります。Z世代は、かつてのCSRのようなうわべだけの美辞麗句を嫌悪し、具体的にどのような態度・行動をとっている企業なのか、シビアに見ています。そして、ソーシャル・メディアなどを通じて消費者と企業が対話することも、当然そうあるべきと考えています。

社会・環境問題から目を背け、失言や炎上を怖れるあまり消費者との対話や協働を行わず、ブランド・アクティビズムに取り組もうとしないことは、もはやリスクですらあります。

米国のSNS管理プラットフォームのスプラウト・ソーシャル社によると、消費者の個人的な信念とブランドのメッセージが一致した場合、28%の消費者は公にその企業を称賛し、一方、ブランドのスタンスに反対の考えを持っている場合は20%が公に企業を批判する、ということです。

つまり、対外的に重要課題へのスタンスを明確に表明する積極的なブランド・アクティビズムをとった方が、リスク・リワード・レシオ(損益比率)おいてプラス効果が高く、ブランドアドボカシー(支持・推奨)を効果的に推進できる、ということになります。

コトラーは、「企業は人間のニーズやウォンツを中心に据えて、自社が取り組むべき『厄介な問題』を探らなければならないのだ。社会貢献に注力する企業は顧客に評価されて報酬を得るし、その過程で得た信用を元にしてさらに成功する」としています。

また、「ネガティブなアドボカシー(評判・批判)であったとしても、それがなければ休眠し続けたかもしれないブランド推奨者たちが、批判をきっかけに目覚めるとするならば、ブランドにとってポジティブな結果となる」とし、「ソーシャルメディアによる企業と生活者の繋がりは、企業にとってブランド・アクティビズムを始める優れた手法を提供してくれる」と、批判であっても前向きに捉え、そこから対話を継続していくことを推奨しています。

次回は、アドボカシー(支持・推奨)が発生する、シーンやチャネルでの顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)をいかにマネジメントしていけばよいのか、「コトラーのH2Hマーケティング」から学んでいきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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