マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その21」

前回までH2Hマインドセットについて見てきましたが、今回からH2Hマネジメントに移りたいと思います。

コトラーは「昨今、信用はマーケティングの究極の通貨となっている」とし、H2Hマネジメントの肝になるものは、トラスト・マネジメント(信用管理)であるとしています。

ここでいう「信用」とは企業間の取引決済の意味での信用ではなく、生活者、ユーザーからの信頼や評判のことを指します。

コトラーは、PR会社のエルデマン社が2000年から世界20数カ国で毎年実施している信頼度調査レポート「エルデマン・トラストバロメーター2020」から、「米国では、この調査が始まって以来、最も急激に、信用全般が低下していること」、「56%の回答者が、今日の資本主義がもはや適切な経済システムではないと考えていること」を紹介しています。また、同レポートの2018年版からは、メディアへの信用が失墜した結果起きた主な現象として「真実の喪失」を選択した回答者が59%に達したことも紹介しています。

このような、社会体制(政府)やメディアへの信用低下が続く中、同レポートの中では、企業のリーダー(CEO)に対する要求と期待が高まっていることがデータとして表れています。

政府に言われる前に、企業が自ら変革に取り組むことへの期待は、64%から74%へ高まっており、従業員の多く(7割以上)が、CEOに求める姿勢・行動として、従業員を支援するだけでなく、産業界の課題、政治・国家的な危機に対しても明確なスタンスを表明すべきだと回答しています。

消費者においては、この傾向はさらに顕著で、自分が購入しようとするブランドが、会社として正しい行いをしていて信用できるかということが、購入の際の判断基準のトップ5に入り、81%が重要であると回答しています。

こうした傾向は、最新の2022年版でも継続しており、むしろ強まっています。(日本も同じ傾向にあり、特にメディアへの不信感は米国よりも強いものがあります。)

冒頭のコトラーの「信用はマーケティングの究極の通貨となっている」という言葉は、こうしたトレンドを踏まえたものであり、企業はこうした要望があることを認識し受けとめ、CSRの発展形である「ブランド・アクティビズム」に積極的に取り組むべきで、それにより戦略的・経済的利益を得ることができる だろうとしています。

ブランド・アクティビズムとは、従来のCSRが企業の面子を保つ上辺だけのものが多かったことに対して、2018年に登場した考え方で、「ブランド・アクティビズムは社会を良くしたいという願望から、社会的、政治経済的及びまたは環境的な改革を推進し、疎外し、または率いる事業の取り組みで構成される」 というものです。

コトラーは「極端に偏った世界において、中立的立場を貫くだけではもはや不十分なのだ」とし、企業のリーダーは、ブランド・アクティビズムとして、社会・政治問題に対するスタンスを明確に表明し、行動していくことが求められている、としています。

(by インディーロム 渡邉修也)

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