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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その16:
個々のアクターと向かい合う」

コトラーは「マーケティングは、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)における自らの重要性を認識し、相応の行動を取る必要がある」としています。

デジタライゼーションは、①デジタルデータ処理の基盤構築、②情報通信の相互接続、③商品やサービスの相互接続という3段階で進められます。

第1段階はインフラの構築。第2段階は部門間や内部・外部間の情報の流れを阻害する垣根を取り払いつつ、適切に情報を制限・制御することで、情報を各部門でより戦略的、効率的に活用できる態勢を整備することです。

第3段階については、IoT(モノのインターネット)という用語で象徴されることが多いのですが、これは技術・インフラ面から見た場合の用語であり、マーケティングの立場からは「サービスのインターネット」と言い換えるべきだという意見があります。

コトラーは、モノからサービスいう “脱物質化” の変化を前提としつつ、H2Hマーケティングの課題の一つとして、脱物質化していくバリュープロポジションを包括的に提示し「有形化」していくことの大切さを主張しています。(VR、AR、メタバースなどは、コトラーのいう「有形化」の有望な形態・手法と見なされており、現状は試行錯誤の段階ということになります。)

デジタルネイティブとは「Always on(常時オン)」状態の生活者や生活スタイルを表現する言葉ですが、ハイネマンは、現在は「スマートネイティブ」の時代であり「Always touch(常に緩やかに繋がっている)」のマインドセットに変化していると言います。

古典的な購入プロセスは、顧客が店を選定し、店内(販売時点)と購入(意思決定地点)が同じポイントで、そこで複数の商品を比較し(場合によっては他店へ移動し)購買するものでしたが、Always touch が当たり前になった現在は、即座に検索・比較ができ、SNSで誰かの意見をきいて検討・決定ができるようになっています。

このようなホモ・デジタリスの購買行動について、ハイネマンは、SoLoMo(ソーシャル/ローカル/モバイル)という表現しています。

ハイネマンは「人々はソーシャルメディアの世界に留まり、スマートフォンなどの技術を通じて局所性を持ち、常にオン状態のスマートフォンを使ってインターネット上のエコシステムにアクセスしている。購入プロセスがデジタル世界に移転したことは、顧客のカスタマージャーニーに多大な影響を与える」と言っています。

なお、一つ付け加えるとするならば、ネイティブとは言えないまでも、世代を縦断して、デジタルネイティブ的、スマートネイティブ的なマインドセットを持っている生活者は確実に増えているということです。同じ年齢であってもマインドセットは異なります。H2Hマーケティングで繰り返しお伝えしている通り、従来の世代でターゲット層を切り分けるという古い考え方は捨て去り(ターゲットグループではなく)、個々のアクターと個別に向かい合っていく必要があるということです。マーケティングにおけるデジタライゼーションとは、それを実現するための方策であり過程になります。

(by インディーロム 渡邉修也)

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