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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その15:
マーケティングにおけるデジタライゼーション」

「H2Hマーケティングモデル」の影響因子の3つ目は「デジタライゼーション」です。

デジタライゼーションは、デジタルイノベーションの同義語として使われます。

似た用語で “デジタイゼーション”というのがあります。ウルフとストローシェンは、デジタイゼーション概念について「デジタイゼーションとは、アナログサービスが完全にあるいは部分的にコンピュータで管理可能なデジタル方式に置き換わったことをいう」と定義しています。

一言でいえば「アナログデータのデジタル化」ということで、紙の情報をデータ化することです。

紙情報のデータ化については、90年代前半から現在に至るまで、企業規模にかかわらずどの企業でもコツコツと取り組んできたと思いますが、情報をデジタル化しただけでは “デジタライゼーション” とは呼べません。

デジタライゼーションとは、デジタルプロセスにおけるデータの利活用を意味し、デジタル変革はデータやプロセスを新しいビジネスモデルに適用する、ということになります。デジタル情報がシステムや機械によって処理・活用できること、すなわち運用可能な形式・形態になり、それを利活用するための新たな仕組みを作ることで、初めてデジタライゼーションと呼べるものになります。

データの利活用については、個人情報保護法が基本になります。この法律は、個人情報が適切に利活用されるための基本法として2003年に制定されたもので、何回かの改正を経て、最新版は「令和3年改正個人情報保護法」となっています。

デジタライゼーションによって、それまでの人を手を介して行われてきた、あるいは実店舗で提供されてきたサービスが、デジタル技術を用いて無人化あるいは自動化されたものは多いと思います。かつて旅行代理店の店舗で相談・予約をしていたものがネットで全て行えるようになっていたり、スーパーのセルフレジなど、多くのサービスがデジタライゼーションされてきましたが、今後もさらに拡大していくことになります。

新型コロナのパンデミックは、このデジタライゼーションを一挙に加速させました。データをサーバーで共有し、Web会議システムで打ち合わせをしたり、非接触型アプリで支払いを行うといった技術は、以前から存在はしていましたが、これまでそうした技術の存在は知っていながら、あえて避けてきた人たちも使わざるを得ないような状況になりました。そして、一度定着した技術やサービスは、パンデミック収束後も継続して利用され続けると見られています。

デジタライゼーションとは、さまざまな形でデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを変え、新たな収入源や価値創造の機会を得ること、と言い換えることもできます。

顧客側が、新技術を使い始め定着するまでの時間は、どんどん短くなってきています。デジタライゼーションによって競争していこうとする企業が、競争に勝ち残っていくためには、これまで以上の俊敏性と対応力が必要となります。また、新技術を出来るだけ早く取り入れ、普及・定着させていくには、相応の資金力が必要となります。

コトラーは「H2Hマーケティング」の中で、「企業は、デジタライゼーションを起因とした失業率の上昇に対する救済策としてのユニバーサル・ベーシックインカムのような論点を真摯に受けとめていない」、「人間性(ハイタッチ)と技術(ハイテク)のバランスを見極める必要がある」とも書いています。

(by インディーロム 渡邉修也)

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