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マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その14:
S-DLのinstitution(制度)とは」

バーゴとラッシュは「サービスエコシステムには、アクター間の活動を調整し、効果的に機能させるための共通の制度(ルール)が必要である」と主張しています。

制度(institution)とは、ルールとは、どんなものなのでしょうか?
institutionは、制度、法令、規範、慣例などほか、機関、団体などの意味にも訳されます。

スコットは、「Institutions and organizations」の中で、S-DLのinstitutionについて、組織や機関のようなものではなく、「行動を可能にしたり制約したりして、社会生活をある程度予測可能で有意義なものとする人間が考案したルール、規範、信念」と定義しています。

また、ノースは、institutionについて、スポーツにおける「試合のルール」のようなものと解説しています。

そして、バーゴとラッシュは、制度の取り決めは、「相互に関係する制度群である」とし、個々アクターたちは必ずしも合理的な行動をとるわけではないが、「試合のルール」すなわち「制度」があることによって、各アクターは、特別な認知努力なしに、より合理的な意思決定を行えるようになる、と解説しています。

うーん、なかなか難解です。前回紹介した「家族」の例を手がかりに読み替えると、家庭内では、その家庭間の暗黙のルールや慣習によって、特別な認知努力なしに(少なくともその家庭内では)合理的な意思決定を行うことができ、会社に出社すると(人が変わったように)その会社のルールや規範に従って、無難にやり過ごすことができ、そうした重層的、多面的な制度群(ルール群)の中で各アクターは振るまい行動している、といったところでしょうか。

コトラーは、サービスエコシステムの特性と制度的な観点は、文化や地理的文脈によって大きく異なる可能性があることをマーケティング担当者が理解することは、エコシステム環境での競争において極めて重要だと指摘しています。

また、エコシステムの考え方は、S-DLの関係的特徴も浮き彫りにするそうです。

バーゴとラッシュは「アクターはサービスエコシステムの中で緩やかに結合され、入れ子状態を形成している。よってアクターは、交流やサービス交換を行うために絶えず他のアクターを巻き込まなければならない。そのためアクターは、取引に繋がる魅力的なバリュープロポジション(価値提案)を行う。よって、取引の前に関係性が存在しなければならないのだ。逆ではない」と言っています。(※FP7「アクターは価値を提供できないが、価値提案の創造と提供に参加できる」を思い出してください。)

コトラーは「S-DLにおける関係性の概念は、H2HマーケティングのH2H志向の基礎を築くものであり、全ての事業取引は、最終的には人と人の結びつきによって決定され、企業のエコシステムにハブを形成する」、「納得のいくバリュープロポジションを提示できなければ、他のアクターを説得できない」とし、それらが圧力となりマーケティングの進歩と競争力が育まれるとしています。

S-DLについては、以上で一区切りとします。次回からは「H2Hマーケティングモデル」の3つの影響因子のうち、デジタライゼーションについて見ていきたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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