マーケティング再入門 
「H2Hマーケティングとは・その8」

今回は「テスト(Test)」段階について。前回の「試作」と今回の「テスト」は、相互に行きつ戻りつしながら、改善を繰り返す過程になります。(PDCAサイクルで改善を繰り返すうちに螺旋状に向上していくイメージにも似ていますが、後戻りしたり、時に問題定義からやり直しになるところが異なります。)

初期のごく簡単な試作段階では、チーム内での評価でスクラップ&ビルドを頻繁に繰り返しますが、これならユーザーを満足させることが出来ると思えるような試作に仕上がったら、それを実際にユーザーに試用してもらいます。

製品を送り、後で評価や意見をきくのではなく、試用の現場に立ち会い、ユーザーがどのような反応をするのか、とりわけ「共感してもらえるのか」を注意深く観察し、意見交換を行います。

その際の注意点は「説明なしで試用してもらう」ということです。事前にコンセプトや改善点を説明してしまうと、ユーザーの意識がそこに向かい、好意的な評価ばかり出てくることがあるからです。

余計な説明がない状態で、試作品を見せた時、ユーザーがどのように反応し、触り、手に持ち、使い始めるのか、使用中の様子、使用後の表情・態度などを仔細に観察して行きます。

観察は多くのこと教えてくれます。チームのメンバーが練り上げたコンセプトに気づいてもらえなかったり、良かれと思い採り入れた改善アイデアに困惑した表情をみせ、前の方がよかった言われることもあるかもしれません。これらは、率直な感想・意見として受けとめなければいけません。

可能性であれば、複数の試作品を用意し比較してもらうことが出来れば、どんなことに良好な反応があり、何が今ひとつなのか、より明確になります。

また、複数のユーザーに試してもらうことができれば、ユーザーごとに評価ポイントが異なることが見えてきます。当然といえば当然ですが、なぜ違う評価なのか、そのユーザーの特性やそれまで得られた対話の中から、なぜの理由をチーム内で検討していきます。こうした検討が次のアイデアにつながります。

デザイン思考の段階について、共感、問題定義、概念化、試作、テストと見てきましたが、既にお気づき通り、これらは階段を順序よく上るものではなく、多様な登山ルートが存在する山登りに似ています。当初の問題定義・概念化段階で想定したルートではダメで、別ルートを進むうちに、それまで気づかなかった視界が開けてくるかもしれません。デザイン思考の肝は「ユーザーへの共感」であり、そこさえ外さなければ、きっと峠は越えられるはずです。

デザイン思考とは、市場中心のアプローチではなく、ユーザーへの共感からスタートするアプローチです。単に「より売れそうなもの」を模索するのではなく、共感から生まれるアイデアと、チームでの練り込み、試作と評価を繰り返すことで、ユーザーにとって真に価値のある新しいニーズを掘り起こすような、つまりイノベーションを生み出そうするクリエイティブな作業になります。

数回にわたってH2Hマーケティングモデルの3つの理論フレームワークの中の「デザイン思考」を復習してきましたが、次回からは「サービス・ドミナント・ロジック(S-DL)」へと進んで行きたいと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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