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マーケティング再入門 
「アフター・コロナへ向けたマーケティング・その14:
コンバージョン増減の4分類」

コトラーによると、A5モデルのA1からA5へ至る過程でのコンバージョンの増減パターンは産業特性によって大きく4タイプに分類することができ、自社のビジネスやブランドが、どのタイプに当てはまるのかを知り、注意すべき点に関して相応の施策を打つことで、是正・改善することが可能だとしています。

1)漏斗型
A1からA5まで100→70→40→20→5と先へ行くほど減っていくパターン。顧客自らが、A1からA5までのカスタマー・ジャーニーの全段階をたどるのが特徴で、実際に自分で使った経験をもとに、他者に推奨するかどうかが決定されるような耐久消費財やサービス産業に多いとされてます。

顧客は、5段階をすべて通過し、かつカスタマー・ジャーニーのどの段階でも、ブランドを検討対象リストから外すことが可能性があるため、漏斗型に該当するブランドや産業の場合は、A1認知・A2訴求に対応する広告、A3調査に対応するウェブサイトやコールセンター、A4行動に対応する販売チャネルでの各施策、A5推奨に関わるアフターサービスなど、多様なタッチポイントで、顧客に良い評価をしてもらうための「顧客体験」を安定的、断続的に提供していく必要があります。

2)ドアノブ型
好奇心レベルが低く、前半は100→40→20と低下し、自分で「調査」しようという顧客は少ないものの、後半は40→10と「購買」はそれなりにあるのが特徴。相対的に低価格でコモディティ化した消費者向けパッケージ製品に多く、特売やベタ付けプレミアム(オマケ)など、販売時点において一瞬で購入するブランドがチェンジされることもあるような商品カテゴリーになります。ドアノブ型の場合、ちょっとした価格差でブランドチェンジをされないように、ポイントを集めると特典がもらえるとか、優遇を受けるといった施策が取られることが多いようです。

3)金魚型
BtoBの企業間取引に多いとされるタイプです。売り手も買い手も専門知識を有していることが多く、100→30→70→50→20と、A2訴求はかなり低いものの、A3の「調査」は十分に行われます。ただし、他社との競争も厳しく、スペックや見積にあまり大きな差が見られないことも多く、顧客との親密さが決定要因になることも多いとされます。A3調査の比重が大きい ため、コスト比較の分かりやすさなどが有効と考えられます

4)トランペット型
100→70→30→10→40と、A4行動(購買)よりもA5推奨が多い、つまり購入者数よりも推奨者数の多いのが特徴。高級車や高級腕時計など、高額であるため実際に購入し使用するユーザー数は少ないものの、確立したブランド評価により、非ユーザーからも推奨が行われます。

以上が4タイプになります。理想的なのは100→70→50→70→100というように、A1からA3にかけて低減していくものの、結果として選ばれる(購買)され、さらに使用体験やアフターサービスなどで100に近づくというもので、これが、コトラーが「蝶ネクタイ型」と呼ぶ理想的な形態です。自社ブランドのタイプ分析をした後は、この「蝶ネクタイ型」を近づけるように施策を打っていくことになります。

(by インディーロム 渡邉修也)

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