マーケティング再入門
「アフター・コロナへ向けたマーケティング・その11:
適度な好奇心を生み出すコンテンツ・マーケティング」
コトラーは「訴求(A2)から調査(A3)」段階での絞り込みを最小限にくい止めるためは「好奇心を最適化する」ことが必要だとしています。
「訴求(A2)」で好奇心を持ってもらったとしても、次段階の「調査(A3)」へ進んでもらうには、それなりのハードルがあります。
「コトラーのマーケティング4.0」の中でも紹介されている心理学者ジャン・ピアジェによると、人の好奇心は逆U字曲線を描くそうで、期待していない場合には、当然ながら好奇心は低く、人は自ら調べようとはしないそうです。
では、期待が強い場合はどうでしょうか?期待が強ければ、好奇心も高く自分で調べるかというと、さにあらず。期待が強すぎると、人は「真実」を避けようとする傾向があるそうで、やはり調査しようとはしないそうなのです。
コトラーは「マーケティングでは、顧客に魅力的な知識を適量与えることによって好奇心を生み出す」としてます。
押しつけがましく、くどいのは嫌われるが、適切かつ適量であれば、好奇心が刺激され、もっと知りたいと思ってくれるということでしょうか。
コトラーは、好奇心を生み出す施策として「コンテンツ・マーケティング」によるアプローチを勧めています。
顧客の生活に関係があり、内容もしっかりしていて、しかも、さりげなくブランドと結びついているようなコンテンツ、つまり共感を持ってもらえるようなコンテンツの提供です。
そうしたコンテンツを、自社のウェブサイトやメールマガジン、広報誌などの自前メディア(オウンド・メディア)や、雑誌のパブリシティ記事などの有料メディアを通じて発信していきながら、生活者の間でブランドについて好意的なカンバセーションが交わされるように努力していくわけです。
コトラーはここで留意すべき点として、コンテンツは「検索可能」で「シェア可能」なものであるべきだ、としています。
オウンド・メディアにコンテンツを蓄積していく場合には、それが容易に検索できる形態になっているかをチェックする必要があります。
俗に言うSEO対策にもつながることでもありますが、怪しいSEO対策は絶対に避けなければなりません。検索ロボットは騙せても、そこを訪れる人は内容を見て、しかるのちに、共感する/しないに分かれるからです。
また、「シェアしやすい」ということを考えると、長文で複数ページにまたがるものや、会員にならないと見られないものなどは、「シェア」という観点からは不利になるでしょう。
共感を持ってもらえるような優良コンテンツを提供しつつ、こうしたチューニングを繰り返していくことが「好奇心の最適化」につながるわけです。
(by インディーロム 渡邉修也)