マーケティング再入門
「3.0/4.0における社内マーケティング・その2:
社員の「共有価値」が企業文化を作る」
「企業文化とは、共有価値と社員の「共通の行動」によって築かれる」(「コトラーのマーケティング3.0」より)
「共有価値」が、社員の行動を導く真の企業文化、すなわち「コア・バリュー(中核的価値)」であることを、前回復習しました。
「企業文化を築くとは、共有価値と共通の行動を一致させること」であり、それはつまり「組織内での日常の行動を通じて、価値を示すこと」だとコトラーは言います。
「日常の行動」を通じて「価値を示す」こととはどういうものでしょうか。
社員の価値と行動は、その会社のブランド・ミッションを反映している必要があります。消費者に向けてブランド・ミッションをマーケティングしていくためには、個々の社員が価値を体現する大使として行動することが必要になってくるわけです。
個々の社員が、価値を体現し行動するようになるには、やはり「共有価値」が、それだけの価値を持つ優れたものでなければなりません。
優れた価値とは、社員の協働的・文化的・創造的側面を活性化させ、育成するものです。
協働的価値とは、社員が変化を起こすために他の社員や社外のネットワークと協働することです。
文化的価値を持つとは、社員や職員に自分自身の生活や他の人びとの生活に文化的な変化を起こそうという気持ちを抱かせることです。
創造的価値の構築とは、社員に自分の革新的なアイデアを育てて、それを他の人びとと共有するチャンスを与えることです。
コトラーは「マーケティング3.0とは、社員を変えることであり、社員に力を与えて、他の人びとを変えさせる」ように促すことだと言っています。
コトラーは「言葉で教えてくれても忘れてしまうだろう。見せてくれれば覚えているかもしれない。関与させてくれれば理解するだろう」という中国の格言を紹介しています。
社員に力を持たせるためには、つまりエンパワーメントするには、社員を関与させることが必要なのだ、と言います。
そして「企業は、社員が変化をもたらすためのプラットフォーム(基盤)をつくる必要がある」のだと提唱しています。
いかがでしょうか。マーケティング3.0的な経営の方向性がある程度見えてきたのではないでしょうか。
(by インディーロム 渡邉修也)