マーケティング再入門
「これからの商品・サービスの開発・その11」
スティーブン・コヴィーによれば「人間の基本構成要素」とは、肉体、マインド、ハート、精神の4つであるそうです。
コトラーは、「コトラーのマーケティング3.0」の中で、マーケターのバイブルの1つであるアル・ライズとジャック・トラウトの「ポジショニング戦略」で提唱された “製品の意図を標的顧客の「マインド」にポジショニングさせる” というマーケティングの一大潮流の中、コヴィーの4つの基本構成要素のうち、特に「マインド」を重視した取り組みが行われてきたと指摘しています。
コトラーは、3.0/4.0時代のマーケティングでは、これまで置き去りにされてきたハートや精神も考慮して行かなければならないとしています。
このうち「ハート」については、スターバックスのハワード・シュルツ、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン、アップルのスティーブ・ジョブスなど優れたマーケターに実践されてきたと言い、今後は「精神」に訴える第三段階へとさらに進化する必要があるとしています。
また、コトラーは、マインド、ハート、精神を持つ「全人的存在」としての消費者に対応するために、マーケティングは、ブランド、ポジショニング、差別化のバランスのとれた三角形として定義し直される必要があるとし、その具体的な分析・評価指標としての「3iモデル」を提唱しています。
<3iモデル>
- ブランド・アイデンティティ
- ブランド・インテグリティ
- ブランド・イメージ
ブランド・アイデンティティとは、ブランドを消費者のマインド内にポジショニングすることで、これは、以前から行われてきた手法です。
ブランド・インテグリティは、主に消費者の精神に向けて行われるもので、企業が消費者に対して、誠実であること、約束を果たすことであり、ブランドに対する信頼を醸成することだということです。それにより、ポジショニングと差別化によって主張されていることを実現されます。
ブランド・イメージとは、消費者のエモーションをつかむことです。ブランドの価値とは、機能や性能を超えて、消費者の感情的なニーズや欲求にアピールするものであるべきだということです。
ブランド、ポジショニング、差別化の3つの要素によって形成される、ブランド・アイデンティティ、ブランド・インテグリティ、ブランド・イメージの「3i」の新しいマーケティング・バランスの中で、自社のマーケティングを再定義していく必要があります。
3iモデルにより再定義することで、マインド、ハート、精神を持つ全人的存在としての人間に向けて、どのようなメッセージを発信し、コミュニケーションをとっていくべきかを検討していくことになります。
(by インディーロム 渡邉修也)