マーケティング再入門
「これからの商品・サービスの開発・その8」
新製品開発の意思決定プロセスの順番でいくと今回は「事業分析」となりますが、事業分析について詳しく取り上げるのは、「マーケティング再入門」というこの連載テーマから少し外れてしまいますので、今回は省略させていただきます。
さて、この連載は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」を教科書替わりにしながら、コツコツと復習しているわけですが、第12版以降もコトラーは精力的に執筆講演活動を続けており、ご承知の通り、マーケティング3.0や同4.0を提唱しています。
その中で、製品開発に大きく関係すると思われるのが、「(ユーザー)参加の時代」と「協働マーケティング」というキーワードになります。
ユーザー参加型の代表的なサービスが、TwitterやFacebook、Line、YouTubeなどのSNSになります。これらのサービスの特徴は、誰かに何かを売るのではなく、多くの人々の参加と利用によりサービスの価値が決定されるということです。
また、製品開発段階、あるいは、アイデア探しの段階から、ユーザーの参画を募る協働マーケティングと呼ばれる手法も、かなり多く見かけるようになってきました。これは、ユーザーとの協働のほか、ビジネスパートナーとの協働も含みます。
また、新しいサービスや価値を共に作っていくため「共創」という言葉も多く使われます。共創も、ユーザー、ビジネスパートナーの両方で使われます。
ビジネスパートナーとの協働、共創については、技術革新の速度がどんどん加速しているのと、かつては家電業界、自動車業界といった“業界”の中で完結し競争を繰り広げたいたものが、家電も自動車も通信とつながり、AIで制御され、集めたビッグデータを基にした次のビジネス展開・・・というように、一つの業界では、物事が完結しなくなった現在、全てを自社またはグループ企業の垣根を越えて協働、共創していくことは当たり前になっています。
また、ユーザーとの協働、共創については、ユーザーとやり取りを行うための「場」が必要になってきます。LineグループなどのSNSサービスや、SkypeやZOOMといったウェブ会議サービスを利用したり、実際に人が集まって意見交換をするものなど手法は様々ですが、かつてと比べ、ユーザーの意見を直接聞きたいと思い立った時、それを実現するための環境を整えるための敷居は格段に下がっています。
こうした手法を製品開発や既存製品・サービスの改善に使わない手はないと思いますが、そこで、企業側に問われてくるのが、企業の社会的責任になります。
コトラーは、「誠実であること、約束を果たすこと、そして当該ブランドに対する消費者の信頼を醸成すること」(「コトラーのマーケティング3.0」より)を指摘しています。
これらの話は長くなりそうなので、次回も、マーケティング3.0、同・4.0を復習していきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)