マーケティング再入門
「これからの商品・サービスの開発・その5」
「消費者は製品アイデアではなく、製品コンセプトを購入する」(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」)
コトラーによると、「製品アイデア」とは、将来市場に提供できるかもしれない製品のことであり、一方、「製品コンセプト」は、そのアイデアを消費者向けの言葉に練り上げたものだそうです。
世の中には「iPhoneと同じものを、自分も考えていた」という話しをする人がいますが、それはきっと製品アイデア止まりであり、スティーブ・ジョブスは製品コンセプトを言葉として、また具体的なビジュアルとして、練り上げ落とし込むことが出来たという違いなのでしょう。
製品アイデアを、製品コンセプトとして練り上げていくには、どのような人が、どんな時に使うのか、その製品が提供するベネフィットは何かなど、5W1H(あるいは5W2H)に当てはめていくと、アイデア段階では、見えてこなかった抜け落ちが見つかったり、頭が整理されて良いようです。
製品コンセプトが出来たら、次に「ブランド・コンセプト」の段階へ進みます。
製品コンセプトは、その製品とはどのようなもので、誰が使うのか等、その製品の製品たる「核心」部分を確認し固めていく作業でしたが、ブランド・コンセプトの段階では、製品(製品コンセプト)を、様々な条件・状況の中、つまり現実の市場に投入したとしたら、そのブランドがどのようなポジションで、どんな価値をもち、他ブランドと差別化できるのかを検討し、確認していく作業、つまりマーケティングで言うところのSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)、とりわけ「ポジショニング」の作業になります。
さらに、コトラーは、このようにして練り込んでいった製品コンセプト、ブランド・コンセプトが、標的消費者にどれくらい受け入れられるのか、「コンセプト・テスト」を行うことを推奨しています。
<コンセプト・テストの質問項目例>
- 伝達可能性と信用性…製品コンセプトの内容で、ベネフィットが明確に伝わ り、信用してもらえそうか。
- ニーズ水準…消費者の課題を解決し、ニーズを満たすことができそうか。
- ギャップ・レベル…現在、消費者は他の製品で満足しているのか。(ギャッ プが大きいほどニーズは高い。)
- 知覚価値…価格は価値に見合っているのか。
- 購入意図…この製品を買いたいと思うか。
- ユーザー・ターゲット…この製品を使うのは誰か。
- 購入時期、購入頻度…(ターゲットごとに)いつ、どれくらいの頻度で購入 されそうか。
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」より抜粋)
このような質問をすることで、その製品(その製品のコンセプト)が、標的消費者にどれほどの訴求力を持つのかを確認できます。
(by インディーロム 渡邉修也)