マーケティング再入門
「これからの商品・サービスの開発・その4」
アイデアは、何もないところから突然生まれたりはしません。アウトプットの前にインプットが必要です。
インプットについては、本を読んだり、データ分析するのもよいですが、コトラーは「他者との交流」の大切さを説いています。
第一に顧客。これは言うまでもありません。アンケートだけでなく、1対1のヒアリング・インタビューやグループ・インタビューは、アンケートでは拾いきれない個々のユーザーの本音、「こんな機能、こんな新製品がほしい」という意見・要望など、多くの気づきがあり、商品化アイデアの宝庫といえます。
「顧客観察」も有効です。顧客の行動(購買検討時、購買時、使用時、使用後など)を観察することで、改善点やまったく新しい製品のアイデアが浮かび上がってくるかもしれません。
他者との交流は、顧客以外も多々あります。他分野の技術者や科学者との対話は、技術的なヒントが得られると思います。
従業員は、生活者でもあり顧客でもあります。昔からある手法ですが、社内に意見箱などを設置しアイデアの受け皿を用意するのことも大切です。
コトラーは、創造的なアイデアを生み出す方法として、ロジカル(論理的)な思考法に加え、近年、ラテラル(水平的)な思考法も試すことを提唱しています。
ラテラル(lateral)というのは、3Dグラフィックのソフトなどを使ったことがある人ならイメージしやすいと思いますが、平面の円をぐるりと周回させることでドーナツ状の立体物ができるとか、水平方向に「横滑り」させたりすることで、立体物を生成しようとするものです。
一方、ロジカル・シンキングは、垂直思考とも言われ、どんどん深掘りしたり、論理を積み上げ高みを目指します。
ラテラル・シンキングという、水平的な思考法は、一旦、論理的な前提や条件を取り払ったり、要素をバラバラに分解してみて、並べ替えたり、別のものに置き換えたり、ずらしたり、あり得ない組み合わせを考えてみる、といった思考実験というか、思考の「遊び」をやってみるわけです。
全てラテラルというわけではありませんが、コトラーは「創造性のテクニック」として、次のようなテクニックを紹介しています。
<創造性のテクニック>
- 属性リストアップ…リストアップした属性を別のものに変えてみる
- 関連付け…複数のアイデアを互いに関連付けてみる
- 形態学的分析…問題を要素分解し、各要素の組み合わせを変えてみる
- 前提逆転分析…前提条件を外したり、立場・視点・順序を逆転させてみる
- 新しいコンテクスト…既存プロセスを、別のコンテクストにあてはめてみる
- マインドマッピング…言葉やイメージの連想をどんどん連鎖させていく
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」より抜粋)
(by インディーロム 渡邉修也)