マーケティング再入門
「これからの商品・サービスの開発・その3」
コトラーによると、新製品の9割以上が失敗に終わっているということです。
主な失敗要因について、コトラーは以下のようなものをあげています。
- 市場調査の結果の無視または解釈の誤り
- 市場規模の過大評価
- 高い開発コスト
- 貧弱な製品設計
- 製品ポジショニングの誤り
- 効果的でない広告
- 不適切な価格設定
- 不十分な流通支援
- 競合他社の反撃
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」より抜粋)
一方で、コトラーは、新製品開発の成功要素として「独創的で優位性が高いこと」、「製品コンセプトが明確であること」をあげています。
なんだか当たり前すぎて、あまりピンとこないかもしれませんが、同じ本の中で、イノベーティブな製品開発を行う企業の例として、ゴアテックス社における新製品開発の社内指針が紹介されています。(※少々古い本なので、現在はどうか分かりませんが・・・)
- 潜在顧客と共同開発する
- 従業員にプロジェクトを選択させる
- 従業員に「遊び」時間を与える
- 手放す時期を知る
1については、実際にユーザーになるであろう人たちの意見を採り入れながら開発していくわけですから、もっとも確実なやり方と言えます。
2については、その新製品開発プロジェクトが時間と労力をかけるだけの価値を持ったものだと、他人を説得できるくらいの熱意を持ったメンバーを集めないと成功しない、という考え方に基づくもので、自発的にプロジェクトに参加することが重要だということ。
3については、研究員は労働時間の10%をアイデア開発に費やすそうです。
提出されたアイデアは、「現実性」、「勝ち目」、「価値(収益性)」の観点で検討されるそうです。
4については、ある分野で行き詰まったとしても、他の開発チームと情報交換することにより、別分野で開花することもあるそうです。また、開発した技術を、自社で無理やり商品化し販売するよりも、販売力のある他社に売り渡した方がヒットにつながることもあるそうで、そうした「見極め」と「手放し」も大切ということです。
いかがでしょうか?今回紹介した失敗の要因、成功のための工夫は、どれも当たり前に見えるかもしれませんが、自社で何か開発を行うときのチェックリストとして使えると思います。是非活用してみてください。
(by インディーロム 渡邉修也)