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マーケティング再入門 
「ダイレクト・マーケティング・その5」

マーケティングの世界では、アウトバウンド・マーケティング、インバウンド・マーケティングという用語があります。

アウトバウンド・マーケティングとは、企業から生活者に向けて情報発信するような従来型の情報提供をいいます。TVCMや新聞・雑誌広告、ダイレクトメール、新規顧客を掘り起こすようなテレ・マーケティングなどが典型的なものです。

一方、インバウンド・マーケティングは、お客様が自らの興味・関心により、情報収集を行い、商品やサービス、企業を評価してもらい、自発的に選んでもらえるように促し、導いていくマーケティング手法になります。

「追いかけないで、引き寄せる」。これがインバウンド・マーケティングのキーワードになります。

引き寄せると言っても、何か魔法のように引き寄せられるわけではありません。

基本は、この連載でも何度となく繰り返し確認している「顧客の立場、目線、気持ちに寄り添った商品開発、情報提供」ということを、愚直にやっていくことが、遠回りのようで一番確実な道筋だと思われます。

営業・販売の世界では、お客様に対して、いかにアプローチし、気に入っていただき、購買というクロージングまで持っていくかという営業・販売のテクニックが重視されます。

インターネット時代に、こうした営業・販売のテクニックが無用の長物になったのかというとそうではありません。

営業・販売の達人の方々はけっして押し売りはしないそうです。お客様の話しを傾聴し、お客様が何を求めているのかしっかりと理解し、クロージングまでの道筋を見極めた上で、押しつけがましくなることなく、お客様とのコミュニケーションを重ねていくそうです。そうした積み重ねによって、信頼関係が構築されると、次第にお客様の方から色々な相談をされるようになるそうです。

まさに「追いかけないで、引き寄せる」ということを、実地でやっていらっしゃるわけです。

インターネットにおいては、こうしたお客様との間の信頼関係を構築する役割を、自社で運営するオウンドメディアが担うことになります。

オウンドメディアを成功させるには、いきなり自社商品のアピールをするのではなく、優秀な営業マンのように、お客様が抱えていそうな課題、問題点について真摯に寄り添い、解決策を一緒に考えていくような情報提供が行われるのが理想です。

ただし、全てのお客様に個別対応するのは無理があるため、主だった「お客様像」をいくつか想定しつつ、オウンドメディアを企画・運営していくことになります。

新ジャンルの商品やサービスの場合、往々にして、想定していたお客様像と実際のお客様像に“ずれ”が生じることもあるため、本格的なオウンドメディアを構築する前に、観測気球的にランディングページを複数設置し、“ずれ”を確認することで、軌道修正を行うことも必要かもしれません。

(by インディーロム 渡邉修也)

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