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マーケティング再入門 
「パブリック・リレーションズ・その4」

インバウンド・マーケティングという用語があります。

企業から生活者に向けて一方的に情報発信するタイプのマーケティング手法を「アウトバンド」とするならば、生活者が自らの興味・関心によって自発的に情報収集を行い、商品や企業を評価し選んでもらうように促し、導いていく手法を「インバンド・マーケティング」と呼んでいます。

検索が当たり前になった現在、押しつけがましい情報提供は敬遠されがちです。知りたいことは自分で調べ、比較検討し、納得済みで購入したいと思う生活者が増えているために、インバウンドという考え方が注目されているわけです。

前回復習した「パブリシティ」は、テレビや雑誌などの媒体にニュースや記事として取り上げてもらうことで、間接的に興味・関心や好意を持ってもらおうとするものでした。

近年は既存の媒体に頼らず、インターネット上に企業自らあるいは企業名をあからさまに露出しないようにしたオウンド・メディア(自前の媒体)を運営し、生活者に役立つ情報などを発信しながら、それとなく自社の製品やサービスを思い出してもらい好感度をアップしたり、あわよくば情報をSNSでシェアしてもらおうという取り組みが増えています。

“ネットで検索、気に入ったらSNSでシェア”という傾向は今後も続いていくと思われますので、インバウンド・マーケティング及びオウンド・メディアという組み合わせは、MPR(マーケティング・パブリック・リレーションズ)の活動の中で外すことができない考え方であり手法と言えます。

オウンド・メディアは、小さな会社であってもやる気さえあれば、すぐに始めることができるため、既に多く会社で実践されていますが、ネットでよく見かけるのは、記事内容があからさまに自社製品の宣伝になってしまっているものです。

宣伝が過ぎると、閲覧者側は押し付けがましさを感じてしまいます。

最近の傾向として、自分が見たいもの、知りたいと思うものは熱心に検索するものの、見たくないもの、欲しくないものは、情報そのものを拒絶し遮断するような行動をとる人が増えていると言われます。

つまりその企業の宣伝をうっとうしいと感じた場合、次の段階では“嫌い”というネガティブな感情にまで悪化してしまう可能性があるということです。

こうなってしまうと、修復がかなり難しくなってきます。

「ポジショニングとは、製品に対して行うものではなく、見込み客のマインドの中にどう位置づけるか」という、アル・ライズとジャック・トラウトの名著「ポジショニング戦略」で語られているコンセプトは、インバウンド・マーケティングやオウンド・メディアにおいても輝きを失っておらず、むしろますま す重要な視点、考え方になっていることに気づかされます。

パブリック・リレーションズにおいても、ポジショニングは大切なわけです。

(by インディーロム 渡邉修也)

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