マーケティング再入門
「パブリック・リレーションズ・その2」
前回は、パブリック・リレーションズ(PR)における「パブリック」とは何を意味するのかを復習しました。
少し遠回りになりましたが、今回は、パブリック・リレーションズの主な定義を見ていきたいと思います。まずはアメリカPR協会の定義から。
「パブリックリレーションズとは、組織と組織をとりまくパブリックの間の、相互に利益のある関係を築く戦略的コミュニケーションのプロセスである。」
「相互に利益のある関係を築く」とありますが、“相互に”という箇所に注目してください。
日本においては、広報は企業からの一方的な情報発信という印象が強いと思いますが、相互に継続的な信頼関係を築いていくことが大切ということです。
最近は、ネットから申しこめる、複数媒体に一斉にプレスリリースを配信してくれる便利なサービスがあり、実際に利用したことがある人も増えていると思います。情報発信ももちろん大切ですが、この“相互に”ということも忘れずに、PR活動を行ってほしいと思います。
もう一つ、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」での定義を見てみましょう。
「パブリック・リレーションズ(PR活動)とは、企業イメージや個々の製品をプロモーションしたり保護したりするように企画された、さまざまなプログラムのことをいう。」
注目点は“保護”という箇所でしょうか。PRが、広告宣伝と異なるのは一方的によいところだけを発信するだけでなく、不測の事態に備え、日ごろから、パブリックとの信頼関係を構築し、さらにリスクへの準備を整えておくことも大切なことです。
コトラー&ケラーの本の中では、政治家や官公庁に対するロビー活動なども含め、次の5つをPR部門の機能としてあげています。
<PR部門 5つの機能>
- 報道対策
- 製品パブリシティ
- コーポレート・コミュニケーション
- ロビー活動
- コンサルティング
つまり、PR部門には、普段は製品のパブリシティを支援しつつ、社内外のコミュニケーションを通じて、パブリックにおける企業への理解を促進し、ロビー活動も行いつつ、企業とパブリックとの良好な関係構築のために、自ら動き、経営陣にも適切なアドバイスをしていくことが求められるわけです。
(by インディーロム 渡邉修也)