マーケティング再入門
「パブリック・リレーションズ・その1」
今回から数回に分けてパブリック・リレーションズ(PR)について、復習してみたいと思います。
パブリック・リレーションズというと、広報室と宣伝部が分かれているようなそこそこ大きな会社の話しで、うちの会社にはあまり関係がないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
SNSで情報が拡散され、また、クラウドファンディングで中高生が資金を集め起業するような今の時代には、パブリック・リレーションズをきちんと理解し、しっかり取り組んでいくことは、規模の大小、事業内容を問わず重要になってきていると思われます。
“きちんと理解”という言い方をしましたが、これは私自身、日々の仕事の中で、PRとSP(セールスプロモーション)が混同され、製品PRが、製品の広告宣伝活動の意味で使われているなと感じることが多いからでもあります。
というわけで、まずは、パブリック・リレーションズの定義からおさらいしてみたいと思います。
そもそも、パブリックとは何でしょうか?この話しをすると、とても長くなりそうなのですが、代表的なものを拾っておきます。
「パブリックとは、組織にとって重要なオーディエンスであり、既存・潜在的顧客、従業員、経営者、投資家、メディア、政府、サプライヤー、オピニオン形成者を含む。」(英国のPR業界団体CIPR(Chartered Institute of Public Relations)の定義の和訳、(株)電通パブリック・リレーションズのWebより)
「パブリックとは、企業の目標達成能力に対して、実際にまたは潜在的に利害関係または影響力を持つ集団のことである。」(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」、2008年版からの邦訳)
ここで注目してほしいのは、英国のPR業界団体CIPRの定義の“重要なオーディエンス”という表現です。
コトラー&ケラーの本では“実際にまたは潜在的に利害関係または影響力を持つ集団”となっています。また、他をいろいろ漁ると“ステークホルダー”いうひと言でまとめちゃっているものもあります。
この違いは何でしょうか?
ステークホルダーという表現が90年代以降増えてきたことに対して、いやいやステークホルダーという言葉では意味が狭まってしまい、誤解を招く恐れがあるというわけで、英国のPR業界団体CIPR側では、そうしたものごとを単純化するような風潮に釘を刺す意味で、わざわざ“重要なオーディエンス”いう言い方にしているのだと思います。
今回は、パブリックの話しで紙数がつきてしまい、パブリック・リレーションズの定義までたどりつけませんでしたが、パブリックの定義自体、社会情勢や国の体制などにも影響されるものなので、パブリック・リレーションズの定義もまた10年~15年くらいで更新されていくべきものなのだと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)
<お詫びと訂正>
本ページ内のパブリックの定義についての記述の中で、最初の公開時(2018.06.25)に「米国パブリック・リレーションズ協会(PRSA)」による定義と記載しておりましたが、正しくは「英国のPR業界団体CIPR(Chartered Institute of Public Relations)」でした。誤った情報を掲載したことをお詫びするとともに、正しい情報に訂正させていただきます。(訂正日:2018.07.06)