マーケティング再入門
「販売促進の考え方・その6」
前2回は、大人の郷愁でグリコのキャラメルと森永チョコボールの話が長引いてしまいましたが、今回は本来のテーマである「ブランド価値を下げない販売促進とはどうあるべきか?」という本題に戻りたいと思います。
チェックリストを作るならば以下のような項目が考えられます。
<ブランド価値を下げない販売促進 チェックリスト>
- 販売量をアップさせる
- ブランド価値を下げない
- 反動が少ない
- 費用対効果が高い
- 繰り返し実施可能
反動が少ないというのは結構重要な要件です。キャンペーン期間中に販売量が増えるのは当たり前ですが、直後にいつもより下がってしまうようでは意味がありません。まとめ買いが可能な商品の場合はどうしても反動が起こりがちですが、できるだけ最小限にくい止める工夫が必要です。
また、一回限りではなく、毎年あるいは数ヵ月おきなど、繰り返し実施可能な方がよいと思います。新規企画はお金も手間もかかるということもありますが、なによりも消費者側でキャンペーンとそのブランドとを紐付けしづらくなることが問題です。恒例化に成功すれば、紐付け分のコストが節約できるだけでなく、繰り返すたびにキャンペーンに対するブランド想起率が高まっていくため、ブランドの財産になっていくのです。
上記の要件をクリアするようなキャンペーンはないかと見渡してみると、ありました。ローソンのパン・デザートで年数回やっているキャラクターの絵柄の入った食器をプレゼントするキャンペーンです。
パンやデザートに貼付してある応募シールを集めるわけですが、シール1枚を取得するためには、少なくとも税込130円くらいはかかります。シール50枚を集める場合は 130円×50枚=6,500円。これに飲料などが加わると8千円~1万円はローソンで買い物をすることになります。
食器の原価やリラックマやミッフィーのキャラクター使用料、シール印刷・貼付費用、応募用紙、ポスターの制作費などを差し引いても、パン・デザート、飲料のほか、来店頻度が増えるころで副次的な売り上げ増が期待できるわけで、かなり有効な販売促進策だと考えられます。
他のコンビニチェーンでも、かつては似たようなキャンペーンをやっていましたが、今ではあまり見かけなくなりました。基本的なキャンペーンの仕組みは似たようなものだと思われますので、ローソンが残ったのはリラックマなど人気キャラクターの使用権を確保できたことが大きいと思われます。
食器のプレゼントキャンペーンでは、数年前に吉野家が111周年記念として丼(どんぶり)がその場で当たるというのををやっておりました。数日間限りのキャンペーンでしたが、これなどは毎年恒例化するとか、あるいはローソンのようにポイントをためる方式にしてはどうかと思われます。
(by インディーロム 渡邉修也)