マーケティング再入門
「販売促進の考え方・その1」
販売促進について、コトラーは以下のように簡潔に説明しています。
「販売促進とは、消費者や流通業者に対して、特定の製品・サービスの購入頻度を高めたり購入量を増加させる、主として短期的なインセンティブ・ツールの集まりをいう。」
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版」より)
また、同じ本の中で、『広告が購入の「理由」を提供するのに対して、販売促進は購入への「インセンティブ」を提供する』とも言っています。
広告と販売促進の違いが、鮮やかに表現されていると思います。
ブランド力を醸成していくためには「広告」を、短期に結果を求める時には「販売促進」を、コミュニケーション施策として選択することになります。
コモディティ化した、つまり差別化の難しい製品については、販売促進によって短期的なシェアを獲得できるかもしれませんが、長期の維持は困難です。
他社が同様に販売促進を仕掛けてきたら、即座に状況は変わってしまうから
です。
「ブランド・スイッチャー」とは、常に低価格、値引率(お得感)、景品の有無などが、購買決定の判断基準になっているような消費者です。
このようなタイプの消費者に継続購入してもらうために、販売促進を連発していては、疲弊してしまいますし、ブランドの価値も低下してしまいます。
労多くして得るものが少ない施策です。
それよりも、長い間、ブランドを愛顧してくれるようなロイヤルティの高い消費者をコツコツを増やしていくほうが良策といえます。
一方、同じ販売促進でも、製品自体が優れた特徴を持っている場合は、様相が異なってきます。
販売促進により、試し買いを促し、製品の良さに気づいてもらうこと成功すれば、ブランド・スイッチとその後のリピート購入も期待できるため、かなり有効な施策になり得るからです。
このように、販売促進は、それによって得られる効果を想定しながら、目的を明確して実施されるべきものです。
試用を促すのであれば、無料の試供品を配付(サンプリング)をする。お客様との信頼関係をより強固にしたいのであれば、場当たり的な値引きよりも、お客様にとって有益な情報提供を行った方が喜ばれるかもしれません。
“ブランド価値を下げない”販売促進とは何か、常に頭に入れながら施策を検討していくべきでしょう。
(by インディーロム 渡邉修也)