マーケティング再入門
「媒体の選択と効果測定・その3」
広告の効果測定は、「コミュニケーション効果の測定」と「売上効果の測定」に分けられます。
コミュニケーション効果の測定とは、その広告が伝えようとするメッセージをどれだけ伝達できているかどうか、消費者の認知、理解、選好に対して、どれくらい影響を与えることができるか(できたか)ということを調べるものです。
測定方法は多々ありますが、以下のような事柄を把握していくことでは共通していると思います。
- 広告自体の認知度
- 広告によるブランド想起
- メッセージの伝達
- 広告内容の理解
- 広告への好感・共感
- ブランドへの興味・関心
- 購入意向
- 実際の購入有無
これらを、自社ブランドのみで質問する場合と、競合他社との比較もしていくかは、調査によって異なります。
これらは AIDMAの法則、つまり Attention(認知・注意)、Interest(興味・関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)という伝統的な消費者の購買行動モデルにほぼ沿った調査項目になります。
これだけでもしっかりと把握できれば十分価値があると思いますが、この連載を読んでくださっている方であれば、今どき AIDMAの法則をなぞるだけで大丈夫なの?とか、そもそも昔と違って媒体も多様化しているし、消費者の階層ごとに各媒体の接触率も異なりますよね?といった素朴な疑問をもたれるのではないでしょうか?
また「テレビCMの続きはネット上のビデオで」といった複数媒体をミックスした広告やSNSでの口コミ拡散を連動させるような手法も多くなっています。
ですから、テレビCMなど広告単体での評価も大切ですが、どの媒体で最初に認知し、その後どの媒体へ移動して詳しい内容を知り、興味を持ったのか、情報収集の経路や、SNS等でその情報をシェアしたかどうかなども、調査項目に含めたほうがよいと思います。
これらの項目について、広告の前と後でどのように変化したのかが、基本的なコミュニケーション効果の測定ということになります。
なお、広告と売上効果との関係については別の要素が絡んでくるため、コミュニケーションの評価がそのまま売り上げにストレートに反映されるものではありません。
そこが広告の難しいところというか、分かりづらいところではありますが、広告は打たないよりは打った方がよいですし、よい広告であれば多少迂回があったとしても、必ずなんらかの効果は期待できると考えられています。
(by インディーロム 渡邉修也)