マーケティング再入門
「コミュニケーションの制作と管理・その3」
クリエイティブ・ブリーフに続いて、広告主は「コピー戦略ステートメント」を作成します。
これは、広告を作成していく際に、クリエイティブ・チームが方向性を見失わないようにするために、広告の目的、内容、裏づけ、トーンについて、簡潔に記述したものになります。
<コピー戦略ステートメントの項目>
- 広告の目的:製品名を覚えてほしいのか、試用してほしいのか、リピート購入してほしいのか、広告で伝えたい肝の部分を簡潔に記述します。
- 内容:目的実現のため、どのような内容の広告にすべきか大枠を示します。
- 裏づけ:広告の訴求ポイントを裏づけるような情報。広告制作に関わるメンバーが確信をもって、取り組むことができるようにします。
- トーン:目的達成のために相応しいと思われる広告のトーンを規定します。
これらを明確にしておくことで、複数の制作チームが動いていても、複数の媒体を利用しても、メッセージ内容や表現の方向性が大きくぶれる可能性が低くなり、複数の広告の相乗効果も期待できるようになります。
一説によると、出来の良い広告であったとしても、広告を実際見てくれるのは対象視聴者の半分以下であり、見出しのテーマを思い出してくれるのは30%程度、広告主の名前を覚えてくれるのは25%、コピー全文を読んでくれるのは10%以下と言われています。
であればなおのこと、クリエイティブ・チームに、何が重要ポイントで、どのように伝えるべきか、明確に伝えておく必要があるわけです。
以下は、印刷広告の評価基準について、フィリップ・ワード・バートン等がまとめたものです。印刷物に限らず、広告を制作する際のチェック項目としても有効だと思われますので、広告を制作する際に活用してみてください。
<印刷広告の評価基準>
- メッセージは一目でわかるか。何についての広告かすぐに言えるか。
- ベネフィットが見出しに入っているか。
- イラストが見出しを裏づけているか。
- コピー本文の一行目で見出しとイラストを裏づけるか説明できているか。
- その広告は読みやすく理解しやすいか。
- 製品がわかりやすいか。
- ブランドやスポンサーが明確に分かるか。
(Philip Ward Burton and Scott C. Purvis, Which Ad Pulled Best,9th ed/「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」より引用)
上記に加え、前々回にご紹介したUSP (Unique Selling Proposition)の視点からのチェックが加われば、なおよいのではないでしょうか。
次回からは、媒体の選択と効果測定について、復習していきます。
(by インディーロム 渡邉修也)