マーケティング再入門
「コミュニケーションの制作と管理・その2」
コトラーは、広告キャンペーンを制作する際には、「メッセージ戦略」と「クリエイティブ戦略」を明確に分けるべきであると言っています。
何を伝えようとするのかと、どのように表現するのかを分けて考えましょうということです。
また、「メッセージ」や「クリエイティブ」に加え、キャンペーンについての「社会的責任の再検討」の必要性についても言及しています。
エキセントリックな主張や表現でとにかく目立つこと、場合によってはネット上での“炎上”をあらかじめ想定しているような悪目立を狙ったキャンペーンも時折目にしますが、この社会的責任やブランドイメージの品位・品格というものも考慮すべきかと思います。
メッセージを作成する際には、他ブランドにはない「新鮮な視点」、アピール内容やポジションが「他ブランドと差別化」されていることが大切です。
アピールポイントを、1つか2つに絞り込むことも重要です。キャンペーンの中で、標的視聴者に伝えられるのはそれくらいの数が限度で、それ以上は記憶にとどめてもらえないからです。
理想を言えば、アピールポイントの候補について、消費者調査などを行い、興味・関心・支持が高いのはどれかを確認できれば、なおよいでしょう。
アピールポイントが絞り込まれたら、1~2ページの「クリエイティブ・ブリーフ」を作成します。
これは、ブランド立ち上げ段階に作成する「ブランド・ステートメント」をより詳細にしたもので、キャンペーンに係わる全ての人たちで共有され、同意されるべきものです。この同意がしっかりしていないと、チームのメンバーが目指す方向がぼやけてしまい、その後のクリエイティブや媒体選定などがちぐはぐになってしまい、筋の通ったキャンペーンになっていきません。
<「クリエイティブ・ブリーフ」に盛り込む内容例>
- 主なメッセージ
- 標的視聴者
- コミュニケーションの目的
- 主なブランド・ベネフィット
- ブランド・プロミスの裏づけ
- 媒体
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」より)
このクリエイティブ・ブリーフが出来たら、その次の段階には「コピー戦略ステートメント」を策定し、広告の目的、内容、裏づけ、トーンなどを明確にし、メンバーで共有します。
その後、実際に利用する媒体に関して、具体的なクリエイティブ作業を行っていきます。(この連載で再三繰り返しているように、最初に媒体ありきで、ものごとを決めるのは、やはり順序が逆ということになります。)
(by インディーロム 渡邉修也)