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マーケティング再入門 
「マーケティング・コミュニケーションの復習・その11」

「消費者を360度の視点で捉えなければならない」(フィリップ・コトラー)

マーケティング・コミュニケーションは、対象となる視聴者の価値観や現在の状態に応じて、メッセージの内容も、コミュニケーションの手段や媒体も、変わってきます。

ですが、メッセージや利用媒体が視聴者のタイプ別に分かれていたとしても、根幹となる、ブランド・コンセプトは一貫したものでなければいけません。

そのような考えのもと提唱されているのが、「統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC)」というものです。

米国広告業協会による定義によれば、「統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC)とは、マーケティング・コミュニケーション計画に対する一つのコンセプトであり、マス広告、ダイレクト・レスポンス、販売促進、パブリック・リレーションズといった多種多様なコミュニケーション・チャネルの戦略的役割を生かす包括的な計画の付加価値を認め、これらのチャネルを組み合 わせて個々のメッセージを継ぎ目なく統合することにより、明確で一貫した最大限のコミュニケーション効果を生み出すことである」とされています。

ひらたく言えば、TVCM、新聞・雑誌広告、チラシ、Webサイト、SNSなど媒体が変わっても、また、個々のメッセージの対象となる視聴者が変わったとしても、コンセプトがぶれないようにすることです。

そのためには、コミュニケーション全体(広告以外も含む)を見渡して、統括管理していく役割の担当者が必要になってきます。

IMCの考え方を推進していく上で、つぎの6つの規準を用いて、複数のコミュニケーションが適切に連携し、統合されているかどうかを、チェックしていくことが推奨されています。

  1. カバレッジ:使用する各コミュニケーションが、標的市場とその市場を構成する各々の視聴者に、どの程度到達するのか。
  2. 貢献度:コミュニケーションが、どれくらい消費者に影響を及ぼし、認知を生じさせ、イメージを高め、売上に向かわせたのか。
  3. 属性の共有:複数のコミュニケーションによって伝達された「連想」がどれくらい共通していて、連想が強化され、ブランド想起につながっているのか。
  4. 相互補完性:複数のコミュニケーションで、異なる連想を与えつつ、それらがいずれも1つのブランドを想起させるように適切に組み合わさっているか。
  5. 多能性:マーケティング・コミュニケーションが、他のコミュニケーションを既に見たことのある消費者とない消費者の両方に対して作用するか。
  6. コスト:各々のコミュニケーション・プログラムについて、コストに照らして評価すること。

(ケビン・レーン・ケラー「ケラーの戦略的ブランディング:戦略的ブランド・マネジメント」)

こうしたチェックをしながら、個々の施策の部分部分を見るだけではなく、マーケティング・プロセスの全体を見ることが、IMCを推進する上で重要なことになります。

(by インディーロム 渡邉修也)

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