マーケティング再入門
「マーケティング・コミュニケーションの復習・その3」
マーケティング・コミュニケーションの具体的な作業で、まず最初に行うべきことは「標的視聴者の明確化」です。
“視聴者”というは、発信したマーケティング・メッセージを受信する人々のことで、見込み客、現在の利用客、他社へ流出した客、購入に影響を与える人、一見何の関係もなさそうな人など、様々です。
多様な視聴者の中から、誰にターゲットを絞り込み、どんなメッセージを、どのような方法で発信するのかを明確に意識しましょうということです。
ここで注意すべきことがあります。
相手は、こちらが発したメッセージを、期待した通りには受け取ってはくれないということです。
人は往々にして、自分の見たいものを見たいようにしか見ない傾向があります。
また、未知のものに遭遇した時、自分の経験知の枠組みに当てはめることで、理解しようとする傾向もあります。
さらには、それまで信じてきたことをくつがえすような意見や出来事に出会った場合には、都合よく事実を捻じ曲げること(選択的歪曲)で、納得しようとしたり、論点をずらしたりもします。
ですから、現在、競合他社の製品を利用している見込み客に対して、自社製品に興味・関心を持ってもらい、検討対象にしてもらい、切り替えてもらうのは、相当ハードルが高いことなのです。
米国などでは、比較広告といって、他社製品をこき下ろし、自社製品の優位性を誇示するような広告表現もありますが、日本や欧州では、あまり好まれません。相手に応じて、ものの言い方を工夫する必要があるわけです。
また、発信するメッセージは、シンプルであるべきです。
10のメッセージのうち、3つくらいしか理解してもらえず、さらに1つか2つしか記憶にはとどめてもらえない、と言われています。
誰に対して、どんなメッセージを、どのような言い方(手法・表現)で、いかシンプルに伝えるべきか。
また、それを実現するために相応しいメディア(媒体)は、TVCMなのか、雑誌広告なのか、ウェブ広告なのか、SNSの口コミなのか。最初に媒体ありきで内容を考えることも多いわけですが、本来は逆なわけです。
こうしたことがらを理解しているだけでも、広告やプレゼンテーションの内容や表現は、随分と変わってくるはずです。
(by インディーロム 渡邉修也)