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マーケティング再入門 
「チャネルについて考えてみる・その3」

前回は、コトラーの「マーケティング・チャネルは、潜在的な発注を引き出し、市場を創出するものであるべき」という話しから、チャネル・ミックスがいかに重要であるかを再確認してみました。

潜在的な発注を引き出すチャネルを創出するにはどうしたらよいでしょうか。

まず、チャネルを増やさずに潜在ニーズの掘り起こし行うには、営業の人員を増やす、営業スタッフの能力アップを図る、営業スタッフや販売代理店、卸店、小売店のマージン率をアップしたり、報奨金を増やすといった施策をすぐに思い浮かべることができます。

ただし、人を増やす、能力アップのための教育研修、マージン、報奨金、どれもそれなりに費用がかかるものなので、思いつきだけで、即時導入というわけにはいきません。それによる新規発注の増加見通しなどを勘案しながら、検討・導入されるべきです。

チャネルを増やす場合は、コストをよりシビアに見ていく必要があります。

説明があまり必要のないコモディティ化した商品の場合には、ネット通販や小売店のような「ロータッチ・チャネル」、複雑な説明の必要な産業用機械や契約時の説明が必要な保険商品などの場合は、高度な商品知識を持った販売員が関わる「ハイタッチ・チャネル」を選択する傾向があります。ロータッチ・チャネルは低コストであり、ハイタッチ・チャネルは高コストとなります。

また、チャネルの選択には、想定する顧客が望むサービス水準を満たすことができるかという視点も大切です。

例えば、シニア層に向けた商品を流通させるのに、いくらコストが安いからといって安易にネット通販を選択するのは考えものです。場合によっては、リヤカーや軽トラックで豆腐を販売している会社とパートナーシップを結ぶ方がよいかもしれませんし、私の知り合いのPR会社では、牛乳販売店のネットワークを生かし、チラシのリーチ率アップなどの成果を出しているようです。

また、実際のマーケティングでは、誰が選び、誰がお金を払うのか、という視点も考慮すべきです。

先程シニア向けの商品をネット通販するのは考えものと書きましたが、娘や息子がネットで青汁を注文し、田舎の両親に定期的に届けてもらうといった具合に、買う人と実際の利用者が異なることも多々あるわけで、誰に対して情報提供し、お金を払ってもらうのは誰か、というポイントさえ押さえてあれば、シニア向けの商材をネットで販売することもOKなわけです。

このように考えると、複数チャネルをミックスする場合、どのようなお客様がどんな目的でどのように買い物できたらよいと思っているのか、チャネル別にそれぞれ情報提供から購入、アフターサービス、リピート購入にいたるまで、想定されるストーリーを作ってみることも大切だと思います。

(by インディーロム 渡邉修也)

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