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マーケティング再入門 
「チャネルについて考えてみる・その2」

前回は、チャネル・ミックスの検討ポイントとして、「チャネルの幅」と「チャネルの深さ」を考察してみましたが、今回は、「機能分担」と「動機付け(インセンティブ)」について考えてみたいと思います。

チャネルというと、“販売チャネル”を想像する人もいるかもしれませんが、「流通チャネル」とは、製品がお客様に届くまでの経路のことであり、物流から卸、小売まで全ての活動を含みます。

チャネルの「機能分担」については、コトラーは以下の3つに分類しています。

・マーチャント
商品を買い、権利を得て再販売する。
卸売業者、小売業者など。

・代理業者
生産者に代わり、顧客を探し、場合によって交渉もするが、商品の所有権は持たない。
ブローカー、セールス・レップ、販売代理業者など。

・ファシリテーター
流通プロセスを補佐する。商品の所有権はなく、販売・購入の交渉はしない。
運送会社、倉庫、銀行、広告会社など。

このように書くと、自社の製品は物流を含め流通経路や機能分担は既に決まっているしあまり検討の余地はない、と短絡的に考えてしまうかもしれません。

しかし、コトラーは下記のように指摘しています。

「マーケティング・チャネル(※)の主要な役割の1つは、潜在的な買い手から利益をもたらす発注を引き出すことである。つまりマーケティング・チャネルは単に市場に商品を供給するだけにとどまらず、市場を創出する必要があるのだ。」
(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」丸善出版より)
(※マーケティング・チャネル=流通チャネル)

潜在的な買い手から発注を引き出していくためには、自社の営業担当者、直営店だけは限界があるので、やはり複数のマーチャント、代理業者、そしてファシリテーターとパートナーシップを結んでいく必要が出てきます。

また、積極的に協力してもらうためには、動機付けとなるマージン率やインセンティブを適正に調整していくことも大切です。

チャネルの機能分担、動機付けについては、普段のビジネスの中で当たり前のように行われていることかもしれませんが、コトラーが言うような「市場を創出する」チャネル・ミックスとはどうあるべきかを考えていくことで、次の展開が見えてくるのではないでしょうか。

(by インディーロム 渡邉修也)

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