マーケティング再入門
「価格設定を考えてみる・その1」
今回から数回にわたって、価格設定について復習していきたいと思います。
ある調査によると、価格設定が1%改善すると、営業利益は10%以上改善されるそうです。
価格は、消費者が妥当な価格だと思うか、お買い得と感じるかどうかといった消費者心理を考慮しながら設定されることが多いようです。
消費者は、過去の購入体験や、購入検討段階での情報収集(チラシ等の広告、ネットの価格比較サイト、口コミなど)をもとに、購入すべきかどうかを判断します。
単に安いから購入するわけでもありません。虎屋の羊羹がネットで安売りされるようになったらどうでしょうか?人々は、品質、ブランド力とともに、贈り先に対する気持ちを虎屋の羊羹に託しているわけで、安売りされては困るわけです。こうしたことは、ある種のステータスが期待されるあらゆる商品、サービスにあてはまるものです。
また、安すぎることも時に人を不安にすることがあります。品質やサービスは大丈夫なのかどうか?現在は、ネットで口コミを確認することができますが、1つでもネガティブな評価が見つかるとやはり躊躇します。慎重な人だと最安値のものより、1つか2つ上を選択するかもしれません。
こうしたことを考慮すると、価格設定は単に競合よりも安ければよいというものでもなく、むしろ少し高めに設定した方が、消費者に選ばれることもありうるわけです。
希望小売価格を高めに設定しておき、小売段階での値引き幅を大きくすることで、お得感を演出する手法も昔からよく使われるやり方です。ただし、値引きが常態化すると、むしろ安売りブランドと見られるようになり、ブランド価値を下げる結果につながるため、注意が必要です。
また、あらゆる商品カテゴリには、価格ランクというものがあります。
アイスクリームの場合、乳脂肪分の違いにより、アイスクリーム(8%以上)、プレミアム(12~14%以上)、スーパープレミアム(15~16%)に分けられますが、どのブランドがプレミアムで、スーパープレミアムなのか、明確に区別している消費者はどれほどいるでしょうか?
各メーカーは、グレードの違いを消費者に分かってもらうために、パッケージや広告などでプレミアム性を訴求するとともに、価格の面でもグレードの違いを明確に打ち出していかなければなりません。
少々とっ散らかってしまいましたが、このように価格設定は、ブランディングや実際上の売り上げに直結するものです。次回も、価格はいかに設定されるべきかということを復習していきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)