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マーケティング再入門 
「サービスの品質管理・その1」

前回までは、サービスとはどのようなものなのか、サービスの4つの特性(無形性、不可分性、変動性、消滅性)を切り口に考察してきましたが、今回からは、サービスの品質を管理するにはどのような視点をもち、どのような方法をとっていくべきなのかを復習していきたいと思います。

モノであれば数値によって品質管理することも可能ですが、サービスの場合は「いつ、どこで、誰が、誰に」という個別要素が多く、ルールを決めたとしても、全ての現場、全てのお客様に対して、均質なサービスを提供することは難しいことです。

また、仮に均質なサービスを提供したとしても、お客様側で感じる満足度は、お客様ごとに異なることでしょう。

これは、お客様側がサービスを受ける前に期待していたものと、実施にサービスが提供された時にお客様側で知覚するものとに、ギャップがあるためです。

これを「期待サービス」と「知覚サービス」とのギャップと言います。サービスの品質管理を考える際には、このギャップをいかに小さくしていくのか、あるいは、期待を上回る感動や喜びを提供するには、どうしたらよいのかを考えていくことになります。

ギャップは、様々な段階で発生します。

1つ目は、良かれと思って提供するものが、実はズレている場合。

そもそも、マーケティングというものは、従来のプロダクト・アウトの発想で生産・供給される商品・サービスに対して、消費者側(マーケット側)の意見を取り入れていこうというマーケット・インの考えから発展してきたものなので、今となっては当たり前のように思われがちですが、意外にも、まだまだ作り手側の論理、提供側の思い込みは多いものです。

2つ目は、サービスの基準が明確でないために生ずるギャップ。料金とサービスとの対応関係が明確に提示され説明されれば、ある程度解決すると思います。

3つ目は、管理する側と現場の担当者とのギャップ。人材確保、教育研修によってギャップを埋めていくことになります。

4つ目は、広報・宣伝などで消費者に伝えられる情報と、実際のサービスレベルとのギャップ。ホームページやパンフレットにきれいごとが並んでいても、現場の担当者やサービスがそれを体現していないことはよくあることです。

5つ目は、お客様側がサービスの内容や品質を正しく理解していなかったり、過剰な期待をしている場合。サービス提供側が良かれと思い付加したサービスが常態化し、さらにその上のサービスを要求されるようになることはよくあることです。価格とサービスのバランスをとりながら、お客様の満足を保っていくことはなかなか難しいものです。

次回は、サービス品質の決定要素について復習してみます。

(by インディーロム 渡邉修也)

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