マーケティング再入門
「サービスを再考してみる・その3」
前回、前々回と「純粋な製品のみ」というものは少なく、なんらかのサービスを伴っていることを確認してきました。
今回は、“サービス”というものをもう少し掘り下げてみたいと思います。
「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」の中では、サービスの4つの特性として、「無形性」、「不可分性」、「変動性」、「消滅性」をあげています。
<無形性>
これが最も重要な特性だと思われますが、多くのサービスは「サービスの提供を受けるまで、その価値がよく分からない」という特性があります。
はじめて行く歯科医院がどれだけ満足のいく治療をしてくれるかどうかは、よく分かりません。患者(サービス利用者側)では、リスクを少しでも減らすために、歯科医院のホームページを見たり、口コミサイトをのぞいたりします。
つまり、サービスの利用者側は、事前に出来るだけ安心できる材料を探し、自分が購入(サービス利用)に踏み切ることできるだけの確信を得るために、情報収集をすることが多いということです。
これは大きなヒントで、裏返せば、無形のサービスを目に見える形にすることができれば、サービス利用者は安心して購入(利用)できるようになるということです。
コトラー&ケラーの本の中では、「見えないものを見えるようにする」ために「サービスのエビデンスを管理する」と表現しています。
例えば、医師の写真はないよりはあった方が安心でしょうし、診療方針もないよりはあった方がよい。歯に被せる素材についても、それぞれの素材の特徴や費用など十分な説明があった方が納得もできますし、信頼感も高まるだろうということです。
事前説明にしても「お金さえ出せば良い素材が使えるが、そうでないならこれくらいことしかできない」といった突き放したような言い方をされたら、患者としては、なんだか嫌な気分になってしまいます。
同じ情報提供をするにしても、「情報提供」を“サービス”として捉え直し、より分かりやすくするにはどうしたらよいのか、患者の立場にたった説明とはどうあるべきか、といったことを追求していく余地は沢山あるということです。
1つ1つは小さな改善かもしれませんが、サービスという無形なものを見える化し、エビデンスとして積み重ねていく先に、お客様の評価があるのでしょう。
次回は、サービスの特性のうち「不可分性」について考えてみたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)