マーケティング再入門
「サービスを再考してみる・その2」
前回は、製品やサービスは、純粋な製品(有形財)、純粋なサービス(無形財)というものは実は少なく、多くの製品・サービスは、有形財とサービスのミックスで成り立っていることを復習しました。
今回は、有形財とサービスのミックスについて、どのようなバリエーションがあるのかを見ていきたいと思います。
まず「純粋な製品(有形財)」とは、コモディティ化した商品であり、ホームセンターで販売されているような規格品のボルトやナットのようなもので、ブランドなどはほとんど気にされず購入されているようなものがあげられます。(ただし、特殊用途に使用するようなものは、購入の際にブランドが意識されるものもあるでしょう。)
「有形財が主でサービスを伴うもの」としては、自動車やコンピュータなど、購入前に消費者側で情報収集が必要となるものは、適切な情報を分かりやすく提供するための情報提供サービスや、購入後のアフターサービスなども、商品を購入する際に影響を与えますし、実際に、似たような性能の場合は、サービスのよさそうな、あるいは、サービスも含めてブランド力が高い方が優位に立つことでしょう。
「有形財とサービスが半々のもの」は、飲食店が代表的なものです。食事をする空間や給仕といったサービスを提供し、料理という有形財を提供しています。
「サービスが主で若干の有形財がつくもの」では、貸切バスの場合、大半は、空間を移動するための輸送サービスとバスガイドなどの人的サービスとなりますが、弁当や飲料など有形財の提供が行われる場合もあります。
「純粋なサービス」については、マッサージ、乳幼児の一時預かりなど、サービスそのものが価値であったり、時間によって料金が発生するもので、有形財の提供が一切ないものになります。
以上がおおまかな区分けになります。同じサービスでも、カプセルホテルや岩盤浴などの「設備ベース」のサービスなのか、ビル清掃、警備員など「人ベース」なのか。また、「人ベース」でも理美容師のように技術や資格を要するサービスなのか、時間で計れるのようなサービスなのかによって異なってきます。
また、サービスの中には、顧客がその場にいないと成立しないマッサージや理美容などがある一方で、自動車やパソコンの修理サービス、クリーニングなど、顧客がその場に立ち会わなくても成立するものもあります。
また、対個人、対企業、両方、といった切り口もあります。
新規事業を考える際には、こうした視点でビジネスを分析することは特に重要なことですが、既存の事業についても、有形財とサービスのミックスの状態、サービスがどのようなタイプなのかを、捉え直してみることはとても有効なことで、そこから新たなアイディアが生まれる可能性もあると思います。
(by インディーロム 渡邉修也)