マーケティング再入門
「サービスを再考してみる・その1」
顧客満足を考える時、製品そのものに対する満足度もさることながら、サービスに関連する満足度が実は多くの部分を占めていることが分かります。
今回から数回に分けて、サービスとは何か、マーケティングの中でどのように取り組んでいくべきか、復習していきたいと思います。
そもそもサービスとは何でしょうか?
例によって「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を紐解くと、「サービスとは、一方が他方に対して提供する行為や行動で、本質的に無形で何の所有権ももたらさないものをいう。サービスの生産には有形製品が関わる場合もあれば、関わらない場合もある」とあります。
有形製品の中でも、コモディティ化したもの、例えば、納豆のような商品を買うときは、多くの消費者は納豆メーカーに対して特にサービスは期待しません。
同じ有形製品でも、自動車やパソコンなどの場合は、製品自体の性能、機能、価格、デザインなどの具体的なモノに対する評価のほか、購入前の説明や見積の分かりやすさ、購入後のアフターサービスなど、モノ以外の要素でメーカーやブランドの評価は大きく影響を受けます。トヨタのレクサスがわざわざ店を分けているのは、そうした理由からでしょう。
有形なモノを売っていると思っていても、実はサービス面が大きな部分を占めているものは意外に多いわけです。
一方、サービス業とみなされているレストランも、中身を分解して考えると食べ物という有形のものと、心地よい空間や人的サービスなど有形以外のもののミックスで成り立っていることが分かります。コンサルティング会社も報告書、業務マニュアルといった有形の成果物を納品することが多々ありますね。
このように考えると、世の中、サービス業と思っているものでも、有形なものと無形なものをミックスした業種業態は多いわけです。
例えば、弊社の場合は、インターネット上で、アンケートのシステムや、eラーニングのシステムを提供していますが、プログラム自体を納品しているわけではないので、基本的にはサービス業であると認識しています。
しかしながら、附帯サービスとして、アンケートの報告書を納品したり、教材を開発して納品することもありますので、純粋なサービス業ではないことが分かります。
サービスというものを考えていく際には、まずは、自社の事業を、有形財と無形のサービスに分け、有形・無形のミックスの度合い、その結果、顧客が自社のブランドを、どのように感じ評価しているのかを、検証していく必要があるようです。次回以降、その辺を掘り下げていきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)