マーケティング再入門
「ポジショニングの復習・その1」
これまで数回にわたってマーケティングのSTPの内、市場の細分化、ターゲティングについて復習してきましたが、今回から数回に分けてポジショニングについて復習していきたいと思います。
コトラーによると「ポジショニングとは、企業の提供物やイメージを、標的市場のマインド内に特有の位置を占めるように設計する行為である」としています。
ここで特に注目してほしいのは、ポジショニングは「マインド」に対して行うということです。
そもそもポジショニングという用語は、米国のマーケティング・コンサルタントのアル・ライズとジャック・トラウトが、80年代前半に提唱した「ポジショニング戦略」からスタートしたものです。
「マインド」という用語も既にその中に入っていて、「ポジショニングは製品に対して行うものではない。見込み客のマインドに対して行うものである。つまり、見込み客のマインド内に製品をポジショニングするのである」と書かれています。
時折、マーケティング戦略の話をしていて、知識としてSTPのことは知っていて(あるいは知っているつもりで)、横文字のマーケティング用語を並べ立てながら、X軸、Y軸のポジショニング・マップなどをにらみながら、あれこれと議論をすることもあるわけですが、そもそも、購入者に対する調査も行わないで、マインド内に製品をポジショニングなど出来るものではありません。机上の空論、居酒屋談義と大差ないということになります。
ポジショニングの基本的な工程は以下の通りです。
1)購入者の行動分析(調査に基づく)
・その製品は何と比較して購入されたのか
・比較はどのような基準で行われたのか
2)その製品は競合商品と比較してどのような位置にあるのか
・自社製品のポジションは適切な位置にあるのか
・軌道修正は必要か
適切であれば、そのポジションでの見込み客に対するマインドシェアを強化していく施策を継続していくことになります。
一方、ポジションの軌道修正が必要な場合は、広告戦略、価格戦略、営業戦略などを練り直す必要があるかもしれません。あまりに違う場合は、別の製品を開発することも検討した方がよいかもしれません。
(by インディーロム 渡邉修也)