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マーケティング再入門 
「細分化の多様な切り口・その3」

前回の後半部分では、オケージョンを切り分けて整理することで、新しい提案機会が増える可能性についてご紹介しましたが、今回は、オケージョンについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

コトラーによると、オケージョンとは、「日にち、週、月、年、または、消費者者の生活における時間的局面のこと」だそうです。

90年代前半に、アサヒ飲料が“朝専用缶コーヒー”というキャッチフレーズで「ワンダ モーニングショット」という缶コーヒーを売り出しました。中年以上の方は、所ジョージさんが広告キャラクターとして登場していたことを記憶している方も多いと思います。

当時、缶コーヒー市場は、ジョージア、ポッカ、ダイドー、そして当時は新興勢力だったサントリーボスがしのぎを削っていましたが、後発のアサヒ飲料はそれまで、午後の休憩タイムや残業時の眠気覚ましに飲むもの、という缶コーヒーを飲用オケージョンを、朝専用にシフトさせ、的を絞り込むことによって、ワンダブランドの市場定着を成功させました。
その後も朝専用イメージの連関で、モーニング娘。を起用、現在のAKB48へ引き継がれていくわけです。

このように、商品やサービスが利用されるオケージョンを分析し、従来の発想から、ずらしてみる、裏側から見てみる、という視点の移動が重要です。

オケージョンの時間軸は、購入するオケージョンと、利用するオケージョンとに大きく分けることができます。

ギフト商材が典型的なものです。購入する側は、母の日、誕生日、結婚記念日などのタイミングで購入を検討します。

故郷にいる母親に花を贈ろうとしたら、2~3日前の予約ではもう遅いかもしれません。しかし世の中、忘れっぽい人もいらっしゃいますので(私のことです)前日の注文でも、遠隔地でも、すぐにお花を届けます!というネットのサービスがあったら、飛びついてしまう可能性大です。

こうしたサービスを実現するには、全国のお花屋さんとの提携が必要になってきますが、小さな花屋さんでは、発想はできても、実現するのはかなりハードルが高そうです・・・。

そこで、もっとオケージョンをずらしてみます。上記は購入する側の利便性を追求しようという発想ですが、もらう側の視点に立つと、そんなバタバタと注文したギフトよりも、もっと“スロー”で、心のこもったものの方がうれしいはずです。

例えば、田舎に住む一人暮らしのお母さんが、トイプードルと暮らしているとしたら、そのプードルに似せてカーネーションでアレンジメントしたフラワー・ドッグ・アレンジメントが届いたら、きっとお母さんは大喜びされることでしょう。これなら、なんとかサービス化できそうです。

あとは、この新サービスの存在を、世の中の人へどう伝え、広めていけばよいのか、具体的に考えていくことになります!

<フラワー・ドッグ・アレンジメント事例:花房詩さんのFacebookページ>
https://ja-jp.facebook.com/hanabousi

(by インディーロム 渡邉修也)

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