マーケティング再入門
「市場の細分化を復習する・その1」
マーケティングの歴史を大まかに見れば、T型フォードを大量生産、大量販売するようなマス・マーケティングから、徐々に、特定のユーザー層、地域などに絞り込んだターゲット・マーケティングへ移行してきたことが分かります。
しかし、私が普段ウェブサイトや販促プロモーションの仕事でお客様と話しをしていると、いまだに「ターゲットは20代後半の女性」といった、非常に大雑把なターゲットの捉え方に留まり、当然のことながら、自社の市場におけるポジショニングも漠然としたままのお客様が多いようです。
そこで、今回から数回に分けて、ターゲット・マーケティングを行う上で、必須の知識および作業である「マーケティングのSTP」について、復習していきたいと思います。
STPとは、以下の3つのことを言います。
1) セグメンテーション(市場の細分化)
購買者をニーズや選好でいくつかのグループに分け、各グループの特徴を明確にしていく作業。
2) ターゲティング(標的市場の設定)
細分化した購買者グループから、どの市場に参入(あるいは注力)すべきか決定する。
3) ポジショニング(市場ポジショニング)
標的市場における自社の製品・サービスのベネフィット(価値)を確立し、それを社内外へ伝えていく。
まず、市場の細分化についてですが、冒頭の例にあげたように「20代後半の女性」では細分化していることにはなりません。また「年収400万~500万の所得層」というのも同様です。
セグメントは、ニーズや選好によって細分化していく必要があります。
必要とされているものはどんなものか、必要としている人はどんな人か、どのようなものを好み、どのような価値観で選択するのかという切り口を設定した上で、細分化していきます。
例えば、バニラアイスの場合であれば、甘さ、こく、乳脂肪分、リッチさ、カロリー、価格、知名度など、いくつの切り口が考えられます。
アイスクリームの購買者を、上位の切り口で「甘さとこく」、「リッチさとカロリー」など、いくつかの切り口を、X軸、Y軸に設定し、購買層がどのように分布するのかを分析するところからスタートします。
ここで特に注意すべきことは、マーケティング担当者が恣意的にセグメントを作り出すのではなく、アンケート調査や各種データなどを基に、セグメントを分析した結果として、セグメントを特定していくことです。
つまり、マーケティング担当者の勘や思い込み、20代後半の女性に売りたいという単なる願望だけで決めないということです。
(by インディーロム 渡邉修也)