マーケティング再入門
「BtoBのCRM」
BtoBのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の特徴とはどのようなものでしょうか。
BtoCの場合は、個人の顧客のデモグラフィック(年齢、性別、職業、年収、居住地域などの属性)、購入履歴などをデータを蓄積分析していきますが、BtoBの場合は、以下のような特徴がみられます。
1)営業の対象者が複数であること
営業活動は一人に対して行うのではなく、相手の会社の社長、部長、課長など同時に複数を相手に行っていくことがあります。また、こちら側も、複数の担当者が同時進行で動いているケースも多々あります。
2)購買までのプロセスが長いこと
個人の消費活動と異なり、プロセスが長いため、お客様側の担当者が変わったり、こちら側の担当者が変わることも多くなります。また、人だけでなく、状況が変わってしまうこともあります。
3)購買者が、利用者とは限らないこと
購買者と利用者が異なる場合は、誰に対してどのような情報が有益で喜ばれるのか、見極めた上で情報提供をしていくべきです。
このように、BtoBの場合、CRMといっても、データベースに登録していく内容も異なってきますし、データを入力するこちら側の担当者も一人とは限りません。
CRMの仕組み作りのポイントとしては、複数の担当者が持っている情報を共有できるようにする「見える化の実現」と「情報精度の向上」。アプローチから、ヒアリング、提案、交渉、クロージングなどに至る「業務プロセスの改善・標準化」などがあげられます。
また、BtoCの製品・サービスの場合は、消費者調査や分析などに基づくマーケティング戦略を立て、それに基づいて、営業活動やプロモーション活動を行うことが多くなっていますが、BtoBの場合は、営業部門が現在でもなお強い権限をもっていることが多く、マーケティング部門がアシスタント的な役割にとどまっている会社も多いようです。
よくある話しとしては、営業担当者が自分が持っている情報を共有したがらず、そのために、マーケティング部門が、営業現場からの生々しい情報を知らないままに、的外れな戦略を立てているというケースです。
このような状態に陥らないようにするためにも、「見える化の実現」と「情報精度の向上」、「業務プロセスの改善・標準化」を軸にしたCRMの仕組みづくりが大切になってきます。
次回からは、マーケティングのSTPのうち、セグメンテーションについて復習していきたいと思います。
(by インディーロム 渡邉修也)