マーケティング再入門
「カスタマー・エクイティについて」
カスタマー・エクイティとは、「企業の既存顧客基盤において期待できる生涯価値と、これから新規に獲得する顧客の将来的な生涯価値を足し合わせたもの」です。
カスタマー・エクイティを変動させるものとしては、以下のような3つのエクイティが考えられます。
・バリュー・エクイティ
・ブランド・エクイティ
・リレーション・エクイティ
<バリュー・エクイティ>
バリュー・エクイティとは、製品・サービスのコストに対して、どれほどのベネフィットを感じるかを、客観的に評価したものです。
一般には、コスト・パフォーマンスという言葉で評価されるもので、品質、機能、利便性などと価格とのバランス比較において、顧客側が値頃感やお得感を感じているかどうかを、一定の評価軸を設けて数値化していきます。
<ブランド・エクイティ>
ブランド・エクイティとは、ブランドについての顧客側の主観的かつ無形の評価です。
典型的なものはファッション・ブランドです。同じ工場で、同じ素材、同じ染め、同じ織り方をしたポロシャツがあったとして、一方は、胸に人気ブランドのシンボルマークが入っていて、もう一方が、別のあまり見かけないマークが入っていたとしたら、人気ブランドの方が数段高い価格設定でも、何十倍、何百倍も多く売れるでしょう。
まさに、ブランドはエクイティ(資産)です。
ブランド・エクイティは、品質や機能にあまり差が出ない場合に、大きな威力を発揮します。
<リレーション・エクイティ>
リレーション・エクイティは、客観的、主観的な評価を超えて、そのブランドに固執するような要素です。長年の取引継続で培った信頼関係などがその代表的なものです。
顧客に対する各種情報の提供、取引条件面での特別待遇、人的コミュニケーションの積み重ねなど、日々の取引の内外でリレーション・エクイティが形成されていきます。
リレーション・エクイティは、接待など、仕入れ担当者に対してダイレクトに行うものも含まれますが、こうした個人を対象とした活動は、担当者が交代した際には、大きなリスクとなりかねません。
個人的な関係に依存しない、顧客(企業)とのリレーションシップを構築する必要があります。
ロイヤルティを向上させるような、情報提供システムの構築、取引高に応じた特別待遇プログラム、顧客と企業との関係を強めるようなコミュニティ形成プログラムなどを検討していくべきでしょう。
次回は、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)について、復習していきます。
(by インディーロム 渡邉修也)