マーケティング再入門
「ホリスティック・マーケティングとは」
マーケティングは「ハンティング」ではなく「ガーデニング」である。
マーケティングのコンセプトは、1950年代までの「作ったものをいかに売るか」から、1960年以降は「顧客が何を求めているか」という顧客志向のマーケティングへと大きく変貌しました。「ハンティングからガーデニングへ」という言葉はその変化を端的に表した言葉です。
顧客志向というコンセプトは、現在もまた今後も有効かつ最重要であることに変わりありませんが、これに加えこの10年くらいの間にクローズアップされてきたコンセプトが、ホリスティック・マーケティング(holistic marketing)と呼ばれるものです。先進的な企業ではこのコンセプトが採用されています。
ホリスティック・マーケティングは、その名の通り複数のマーケティング活動を統括し設計・実行していくことを目指すもので下記の4つで構成されています。
ホリスティック・マーケティング
├リレーションシップ・マーケティング
├統合型マーケティング
├インターナル・マーケティング
└社内的責任マーケティング
リレーションシップ・マーケティングは、企業のマーケティング活動に、直接・関節に影響を及ぼす人や組織との関係を強化し継続させていくための取り組みで、日本では90年代以降、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マーケティング)の考え方と実践ということで導入している企業も多いと思いますが、本来は顧客だけでなくビジネス・パートナー、ステーク・ホルダーなども含め取り組まれるべきものです。
統合型マーケティングは、1960年代以降の顧客志向のマーケティング活動そのものと捉えてよいでしょう。一般的にマーケティングといった時にはこの部分だけを指していることが多いと思います。
インターナル・マーケティングは社内に対するアプローチです。マーケティングは特定部門の担当者に限定されず、全ての部門の人びとが常に意識し実践していくべきものですが、実際にこれが実践できている企業は少ないと思います。
ゼロックスでは、全ての職務記述書にそれぞれの仕事が顧客にどのような影響を及ぼすのか説明が記載されているそうです。経理担当者であれば、請求書の正確さと電話応対の早さが顧客の行動に影響すると、皆が共通理解しているわけです。さすがですね。
社会的責任マーケティングは、広い視点で問題意識を持ち、倫理、環境、法、社会的文脈で理解し企業活動に反映していくことが、中長期的に企業の評判を高め、ブランド認知度、顧客ロイヤルティを高めていくことにつながます。
(by インディーロム 渡邉修也)