マーケティング再入門
「マーケティングとは?・その2」
前回予告した通り、今回は「マーケティングの定義」について、勉強してみたいと思います。
ネットで「マーケティングとは」、「マーケティング 定義」と検索すると、さまざまなものがヒットします。
まずは、日本マーケティング協会が1990年に定めたものから、「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」
うーん、私がひっかかったのは“顧客との相互理解を得ながら”というくだり。
これって、なんだか上から目線を感じませんか?
日本では、1950年代に大手メーカーと中心にマーケティングという考え方が導入されましたが、その時代には「作れば売れる」というメーカー側の視点でのマーケティングが主流でした。
以降、大量消費、モノ余りの時代の「宣伝すれば、売れる」という段階を経て、80年代、90年代以降は「顧客志向」が日本でも明確になってきたはずです。
恐らく改訂した際に、前の時代の定義づけを一新すべきところを、部分的に残ってしまったのでしょう。
そのほか、ネットで検索すると、「お客様に価値を提供してお金をいただくこと」、「儲け続ける仕組みを作ること」、「売れる仕組みづくり」など、いろんな表現が見られます。
マネジメントの神様・ドラッカーは「マーケティングの理想は販売を不要にすること」と言っています。
先のネット上の「儲け続ける仕組み」、「売れる仕組み」という言い回しはもしかしたらこのドラッカーの言葉の変化形・短縮形かもしれませんが、ここで注意しておかなければならないのは、ドラッカーはこう続けていることです。
「マーケティングの狙いは顧客を知り、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすること。」
あくまで、顧客が“起点”なのです。
経営スクールなどで有名なグロービスでは、かつては「マーケティングとは『売れる』仕組み作り」と教えていたそうですが、90年代後半には「マーケティングとは顧客に『買ってもらう』仕組み作り」と、言い方を変更したそうです。売れると買ってもらうは、似て非なるものです。細かなをことを言えば、「買っていただく」とした方がより明確になったと思います。
最後に、マーケティングの神様、コトラーの定義を見てみましょう。
「マーケティングとは、顧客の価値と満足を理解し、創造し、伝え、提供すること。」
ここには、バリューだけでなく満足も入っています。
モノやサービスが溢れるこの時代、やはり“満足”は重要なキーワードです。
そこから、ユーザー・エクスペリエンスなど、数々の視点も派生してきたと考えられるからです。
(by インディーロム 渡邉修也)