統計・世論調査を読む
2030(にぃまるさんまる)って?
「2030」と聞いて、ウーマノミクスと即答できた方は、日経新聞などをきちんと目を通していらっしゃる方でしょう。
安倍首相は、今年1月のダボス会議の講演の中で、以下のように述べました。
「いまだに活用されていない資源の最たるもの。それが女性の力ですから、日本は女性に、輝く機会を与える場でなくてはなりません。2020年までに、指導的地位にいる人の3割を、女性にします。」
「にぃまるさんまる」は、20年までに指導的地位にいる女性の割合を30%に引き上げるという数値目標というわけです。
「多くの女性が市場の主人公となるためには、多様な労働環境と、家事の補助、あるいはお年寄りの介護などの分野に外国人のサポートが必要です。
女性の労働参加率が男性並みになったら、日本のGDPは16%伸びるという話です。
ヒラリー・クリントンさんのお話です。私は大いに勇気づけられました。」
安倍首相はヒラリーさんから直接聞いたのかもしれませんが、世間的に有名なのはゴールドマン・サックスのキャシー・松井さんのレポートです。2012年9月時点のレポートの中で、「男性並み」になった時の潜在的GDP増加率を15%としています。
ちなみに「ウーマノミクス」という造語を広めたのも、このキャシー・松井さんということになっています。安倍政権の「日本版ウーマノミクス」の元ネタの大半はキャシー・松井さんということになります。
キャシー・松井さんは、2012年9月のレポートの中で、日本の労働市場における女性の就労促進に関して、10の提言をしています。
それは、正規/非正規、賃金、管理ポストなど、男女の雇用格差の速やか、且つ強制力を伴った改革や、ベビーシッターなど外国人労働者の受け入れに関する法整備などの構造改革などが並んだものです。
日本版ウーマノミクスは、今のところ、企業側の対応が難しそうで時間がかかりそうな、正規/非正規、賃金などにはあまり触れずに、見かけ上の改革として、上場企業に対して、最低1人の女性役員を登用するよう要請しています。
しかし、そんなことではウーマノミクスとはいえないことは誰の目にも明らかで、「女性が輝く社会」は、キャシー・松井さんの10の提言にあるように、抜本的に構造から変えていかないと恐らく無理だろうと思われます。。
(by インディーロム 渡邉修也)